羅青が滅殺の威力を見せてから、萧塵に一撃で制圧されるまでは、一瞬の出来事だった。
人々が反応した時には、すでに驚愕の表情を浮かべていた。
「まさか...」
蝶千舞はベールを被っていたが、その驚きは隠しきれなかった。
昨日から彼女は萧塵を観察し続け、実力を隠した高手として、また潜在的なライバルとして意識していた。
そのため、常に萧塵の実力を推し量っており、できるだけ高く見積もっていた。
彼女が萧塵に羅青との戦いを提案したのは、一つには自分の実力を隠すため、もう一つは萧塵の実力を試すためだった。
しかし、羅青が必殺技を繰り出した状態で、瞬時に萧塵に敗れるとは予想もしていなかった。
この実力は、彼女の認識を完全に覆すものだった。
「まさかこれほど容易く羅青の一撃を防ぎ、さらに重傷を負わせるとは...彼は一体何者なのか?」
梁安瀾は心中で不安と疑念が渦巻いていた。
彼は自分を真元境の極致、先天四境の大宗師以下では無敵と自負していた。
しかし今、彼は自分自身に疑問を抱き始めていた。
萧塵が見せた実力は、すでに全盛期の彼に劣らないものだった。
「師匠は本当に最強です!」
萧塵の後ろに隠れていた曹雁雪は、密かにほっと胸をなで下ろし、同時に誇らしさが込み上げてきた。
先ほど羅青の滅殺の剣に直面した時、死を覚悟したほどだった。
しかし、萧塵が傍にいることを思い出すと、心が落ち着いた。
事実が証明したように、彼女の考えは間違っていなかった!
どんな困難に直面しても、師匠は相変わらず冷静沈着で、天下無敵の師匠なのだ!
一方、傍らの玲ちゃんは、まるで魔に取り憑かれたように萧塵を見つめ、信じられない表情を浮かべていた。
萧塵は羅青を倒しただけでなく、圧倒的な力の差で勝利し、その強さは彼女には現実とは思えないほどだった。
彼女は幼い頃から蝶千舞に付き従い、多くの風雲ランキングの天の驕子たちを見てきた。
彼女は断言できる。風雲ランキング上位三人の謎めいた存在を除けば、このように簡単に羅青を倒せる者はいないと。
萧塵はもしかして、風雲ランキングトップ3に匹敵する絶世の天才なのだろうか?
「青!」
于任通は誰よりも動揺し、興奮していた。
羅青は今日の復讐の切り札だった。羅青さえいれば、覇天虎も蝶千舞も恐れることはないと思っていた。