第268章 敵わない(第二更!)

「え?お父さん、どうしたの?あの人たちは誰?」

元弘は小茹ちゃんを嫌っていたが、目の前で小茹ちゃんが死ぬのを見て、心の中に無限の恐怖が湧き上がった。

「私にもわからない。とにかく、みんなを早く散らばらせて、できるだけ逃げるんだ。一人でも多く逃げられれば良い!」

元沖は今、焦りに焦っていた。

彼はあの黒装束の集団の恐ろしさを見抜いていた。彼らは強いだけでなく、容赦なく冷酷に行動する。

正面から戦うか、命乞いをするかは賢明ではない。唯一の選択肢は、できるだけ散り散りになって逃げることだ。そうすれば生き残るチャンスがある。

元家は没落したとはいえ、まだ大家族で、数十人の家族がいた。

元沖と元弘は中に駆け込み、見かけた人に叫んで、早く逃げるように言った。

状況の深刻さを理解した人はすぐに逃げ出した。

後から気づいた人は、二人が冗談を言っていると思い、なかなか動かなかった。

そのとき、黒装束の者たちが現れ、見つけた人を片っ端から殺していった。

シュッシュッシュッ!

刀光が閃き、すぐに何人かが命を落とし、悲鳴が絶え間なく響いた。

七、八人を殺した後、黒装束の動きがやや遅くなった。

「まずは最後の玉の飾りを探せ!」

最も強い四人の黒装束が集まり、片手で特殊な手印を作り、互いに合わせた。

「魔霊郷よ、魔霊郷よ、すぐに姿を現せ!」

瞬時に、四人の手のひらから魔光が放たれ、道を照らす灯りとなって元家の内庭へ飛んでいった。

「やはり元家にあったか、行くぞ!」

一行は魔光の導きに従い、元家の内庭へ向かった。

その途中、事情を知らない元家の者が通りかかった。

「あなたたちは…」

言葉の途中で。

シュッ!

刀光が閃き、一瞬で命を奪った。

黒装束たちは迅速に行動し、死体を踏み越えて前進を続けた。

すぐに彼らは魔光が指し示す中庭に到着した。

しかし偶然にも、元沖と元弘もちょうどこの中庭に隠れようとしていて、鉢合わせとなった。

「殺せ!」

黒装束は余計な言葉を発せず、命を奪う一撃を振り下ろした。

千載一遇の危機の瞬間、突然一つの人影が虚空から現れ、元沖と元弘の前に立ちはだかった。

冷酷無情な一撃に対し、来訪者は避けもせず身構えもしなかった。

ガシャン!