「お前が萧塵か?」
シウスの表情がわずかに変わり、心の中に警戒心が芽生えた。
確かに若すぎるようだが、四億ドルの懸賞金がかけられている人物は、並の者ではないだろう。
「彼こそがあなたたちが探している萧塵であり、龍帝でもある!」このとき風天佑が立ち上がって言った。
シウスは少し驚いた様子で、すぐに納得したように言った。「なるほど!」
彼は風天佑と二日間も龍帝について話し合い、萧塵を捕まえた後で龍帝と会おうと思っていたが、この二人が同一人物だったとは?
「これは好都合だ。手間が省けるというものだ!」シウスは全神経を萧塵に集中させた。
傍らで状況を見ていた風雨荷は、身を翻して地煞傭兵團の数人を飛び越え、風天佑の前に駆け寄った。
「風天佑、ここで苦労しているかと思ったら、こんなにのんびりと過ごしていたなんて?」風雨荷は本当に言葉を失い、これまで心配していたことが無駄だったと思った。
「仕方ないだろう、相手が優遇してくれるんだから、断るわけにもいかないだろう?」風天佑は肩をすくめて言った。
「降伏したのか?」風雨荷は怒って言った。
「まさか!」風天佑は首を振った。
「では……」
風雨荷は風天佑に目配せし、シウスの方を見た。
シウスは萧塵と対峙しており、今は彼らに背を向けている。間違いなく絶好の機会だ。
風天佑は意図を理解し、目立たないように頷いた。
そして、二人は心を一つにし、息の合った連携で再び合気の技を繰り出した。
「天雨神劍!」
二人の手には剣がなく、指で剣を表現するしかなかった。
しかし風雨荷は神鳳の秘傳書を修練し、風天佑の功力も以前とは比べものにならないほど向上していた。彼らの合気の技は以前より数倍も強力になっていた。
瞬時に、巨大な光剣が凝縮され、シウスの背中に向かって突進した。
「団長、危ない!」
地煞傭兵團の者たちはこの状況を見て、シウスを守ろうとした。
しかし、防ぎようがなかった!
ドンドンドン!
巨剣が横一線に薙ぎ払い、数人が体を爆発させ、血霧と化した。
「よし!」
風雨荷は心の中で喜んだ。
シウスはこの時まだ反応できておらず、依然として剣に背を向けたまま、隙だらけだった。
しかし次の瞬間、彼女の表情は凍りついた。