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第38章 碧寒池の底(本編完)

翌朝、天地は薄暗かった。

「ゴロゴロ~~~」雷鳴が轟き、ぽつぽつと雨が降り始めた。

「青山、この天気では大雨になりそうだ。今朝は山での修行は止めなさい」母の袁蘭は厚手の綿入れを着て、奥の部屋から出てきた。

「母さん、大丈夫だよ。この程度の雨なんて大したことない。じゃあ、山に行ってくる」滕青山は鋼鉄槍を手に取り、外へ出た。

「朝ご飯に早く帰ってきなさいよ」母の袁蘭が声をかけた。

「わかってるよ」庭を出ると、滕青山はすぐに滕家莊を離れ、大延山へと向かった。

……

「フッ!」「フッ!」

滕青山は一筋の幻影となって、山林の中を駆け抜けていった。滕家莊を出た時はぽつぽつと雨が降る程度だったが、大延山に入ると、雷鳴とともに突然豪雨となり、辺り一面が水煙に包まれた。

瞬く間に、滕青山は濡れネズミとなり、全身びしょ濡れになった。

「ついてないな」滕青山は眉をひそめた。

体が雨に濡れるのは些細なことだった。朝の出発時、懐にも何も入れていなかったので雨に濡れても構わなかったが...この雨で碧寒池に潜る計画が少し厄介になった。

「どうあれ、今日碧寒池に潜ると決めたんだ。今日こそは」

滕青山は素早く移動し、すぐに雙頭山に到着した。この崖は彼にとっては平坦な道同然で、二つに分解した長槍を背負い、手足を使って登り、あっという間に山頂に到達した。その後、山頂から飛び降り、時折岩を手で叩いて速度を落とした。

「氷の張り方が速いな」滕青山は碧寒池の縁から二丈ほど離れた平地に着地し、碧寒池を苦笑いしながら見つめた。

碧寒池の表面には既に分厚い氷の層が張っていた。

「この氷の厚さは、少なくとも三十センチはあるな。たった今から降り始めたのに?」滕青山は途方に暮れた。碧寒池の水は特殊で、通常の水より密度が高く、極低温でも凍らない。しかし雨が降ると、雨水が碧寒池の水と接触した途端に。

雨水が急速に凍結するのだ!

雨が降り始めてわずかな時間で、氷は一尺二寸の厚さになっていた。

もっとも滕青山も知っていたが、雨が止まなくても、氷の厚さは最大で二尺までしか達しない。