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第49章 誰が殺したのか?

滕青山は山を下って駆け出した。

「青虎、許してくれ」と滕青山は心の中で呟いた。

白馬組の大軍の中を、滕青山は自由に突っ切ることができる。しかし...一人で白馬組の大軍に立ち向かえば、白馬組の者たちは容易く彼の正体を見破るだろう。そして、大軍の中で滕青山は李洛香を守りきれず、彼女は死んでしまうかもしれない。

滕青山はそのことをよく分かっていた。

しかも白馬組の者たちは必ず考えるはずだ:李洛香は普通の娘に過ぎない。どんな高手が彼女のために命を賭けて戦うというのか?

大李村にはそんな者はいない。となれば滕家莊の伝説の第一高手「滕青山」しかいないということになる。さらに、大軍の中で、多くの者が滕青山一人を見つめることになる。多くの匪賊は滕家莊に行ったことがあり、滕青山を見たことがある。滕青山の容貌はあまり変わっていないので、すぐに見分けられてしまうだろう。

そうなれば...

災いが滕家莊に降りかかることになる!

一度も会ったことのない女のために、滕家莊全体を危機に陥れることはできない。たとえ行ったとしても、救出できる保証もない。実際、最も重要な点は...彼は李洛香を知らないのだ。行ったところで、捕らえられた大勢の女たちの中から、誰が李洛香なのか分からないのだ!

実際、苦難という点では、他の死んでいった女たちも同じように不幸だ。不幸な人々を全て滕青山が救うべきなのか?

この世界には苦しみ、強盗や匪賊に連れ去られる女が大勢いる。滕青山も世界中の苦しむ人々を全て救おうという虚栄心は持っていない。結局のところ、これは世の中が決めることであり、人力では変えられないのだ。

「この乱世の中で、私にできるのは自分の族人を守ることだけだ!」と滕青山は心の中で言った。

******

鐵山組と白馬組の匪賊たちは狂ったように殺し合っていた。白馬組の全員が腕に白い布を巻き、鐵山組の全員が腕に赤い布を巻いていた!乱戦の中、大軍の中では誰が味方か敵か分からない。布の色を見分けるしかないのだ。

鐵山組の目には、白い布を巻いている者は皆殺しだ。布を巻いていない者も同様に殺す!

ただ殺す、殺す、殺すのみ!!!

「シュッ!」