広間の中。
金丹長老執事と築基賓客たちは顔を見合わせた。
彼らには何が起きているのか分からなかった。真寶樓までもが去ることになるとは。
遺跡洞府は血鰐の老祖の遺跡なのに。
冒険に行かなくても。
雲山坊に留まっていれば、それらの遺留品を手に入れる機会があったのに。
結局、真寶樓はそういう商売をしているのだから。
沈平は喜色を浮かべた。
もともと春満園の曾仲人の条件を早く満たそうと考えていたが、真寶樓を離れられないなら春満園から行くつもりだった。
まさか、こんなに早く真寶樓が先に去ることになるとは。
今は白玉穎の弟が言った雲山崩壊まであと二年もある。真寶樓が去るというなら、誰も止められまい。
「第一陣は、自分の家族や友人を先に送ることができる」
「長老執事は三人まで」
「客卿は二人まで」
「その他は一人まで!」
「帰って準備をし、五日後に飛空艇が出発する」
紫袍長老が再び言った。
声が響き渡る。
沈平が我に返った時には、すでに中庭に立っていた。
傍らの崔賓客を見て。
彼は急いで拱手して尋ねた。「崔せんぱい、先ほどの長老の言葉は一体どういう意味でしょうか?」
崔賓客は声を潜めて答えた。「この第一陣は恐らく試験的なものだ。でなければ、わざわざ家族や友人を先に送るようにとは言わないはずだ。具体的な理由は私にも分からないが、安心してくれ。真寶樓の飛空艇は防御が極めて強く、簡単には事故は起こらないはずだ」
沈平は心が沈んだが、無理に笑顔を作って再び尋ねた。「崔せんぱいは家族を送るおつもりですか?」
崔賓客は沈平を一瞥した。
「これは元嬰長老の命令だ」
「それに遺跡洞府に変化があるなら、早めに離れた方が安全だろう!」
真寶樓を出て。
沈平は自分がどうやって清河小路の小さな屋敷に戻ったのか覚えていなかった。
二つの枠。
誰が行き、誰が残るのか?!
しかも行く者も、必ずしも安全とは限らない。
しかし崔賓客の言う通り。
早ければ早いほど安全だ。
彼は符製作室には戻らず、静寂室に入って座り込んだ。
長い間深く考え込んだ。
夕陽の残光が小さな庭に差し込むまで。
沈平はまだ決断を下せないでいた。
夜。
王芸は豪華な料理を作り、静寂室の入り口に立って、「夫君、お食事ができました」
静寂室を出て。
彼の目は穏やかだが疲れていた。
気の利く妻はそれに気付き、急いで前に出て優しく言った。「夫君、どうかしましたか?」
「何でもない」
「于道友を呼んでくるがいい、一緒に食事をしよう」
「はい」
広々とした広間。
簡素な机の上には、靈米獸肉粥、珍寶の果物、霊酒と焼き肉、そして青竹の葉が清香を漂わせ、美味しそうな香りが立ち込めていた。
しかし王芸、白玉穎、洛清、于燕はみな沈平を見つめていた。
彼女たちは皆、沈平の沈黙に気付いていた。
時間がゆっくりと過ぎていく。
靈米獸肉粥の湯気が徐々に消えていく。
沈平はようやく口を開いた。「五日後、真寶樓の飛空艇が一団の修士を運び出す。私には二つの枠がある」
この言葉が出るや。
妻たちはすべてを悟った。
「夫君も一緒に行くのですか?」
王芸は珍しく一言加えた。
沈平は首を振った。「私はまだ行かない。おそらく次の陣になるだろう」
「夫君、芸ちゃんは夫君と一緒にいたい。どこにも行きません!」
王芸はそれを聞くと躊躇なく言った。瞳には一片の波も立たず、彼女の目には夫君こそがすべてであり、最も安全な場所だった。
白玉穎は唇を噛みながら言った。「夫君、私も行きません!」
沈平の視線が移るのを見て。
洛清は淡く笑って言った。「私は夫君の言う通りにします」
于燕は両腕を胸の前で組み、微笑んで黙っていた。
沈平は溜息をついて言った。「二人は必ず行かなければならない」
元嬰長老がどのような状況を考慮してのことであれ、このような通知は即ち命令に等しい。
そしてせっかく離れるチャンスができたのだ。
彼はそれを逃したくなかった。
結局のところ、二年以内には必ず雲山坊を離れなければならないのだから。
彼の心の中で。
妻の王芸は必ず行かせなければならなかった。
彼自身でさえ安全に離れられる保証がないのに、まして霊根のない凡人の妻をや。
残りの一枠。
結局、白玉穎を送るべきか、于燕を送るべきか。
沈平にはまだ決めかねていた。
彼は于燕が絶対に行かないことを知っていたが、それこそが彼を躊躇わせる点だった。
今の商區の状況では。
第一陣で雲山沼沢を離れるのは、事故の可能性は比較的低いはずだ。これだけの宗門の元嬰長老が集まったばかりなのだから、もし本当に何かあれば、各大宗門は必ずためらうことなくあらゆる手段を使って離れるだろう。
妻たちの沈黙を見て。
沈平は顔に笑みを作り出した。「まずは食事をしよう。考える時間はまだある」
食事を終えて。
彼は符製作室には行かず、早々に寝室へと向かった。
妻の王芸が前に出て沈平の衣を脱がせ始めた。
衣服が全て脱ぎ去られると。
寝室内は珍しく静かで、ただ規則正しい呼吸音が交互に響くばかり。
左右両側に。
妻たちの一人は桃色、一人は紫色の肌着が艶やかに輝いていた。
洛清錦の白い肌着は玉のような首筋に掛かり、眉黛の間には清冷さが満ちていた。彼女はただそこに座っているだけでも、まるで山林の青竹のように人々の目を引きつけた。
「芸ちゃん」
「この数日は香粉を多めに塗って……」
言葉が言い終わらないうちに。
王芸の目から思わず涙が零れ落ちた。「夫君、私は行きません!」
沈平は真剣な表情で言った。「言うことを聞くんだ。私はお前に何かあってほしくない。お前に何かあるのを見たくもない。分かるか!」
「商區には今、各宗門の元嬰修士が全て来ている。これからどんな混乱が起きるか分からない。私はただの練気八層の修士だ。お前が安全に離れるのを見届けてこそ、私も安心できるんだ!」
ここまで言って。
彼はゆっくりと深い息を吐き、左を向いて、「穎児、お前も多めに塗るんだ」
白玉穎は一瞬固まり、思わず言った。「夫君、于せんぱいは……」
「お前が先に行くんだ!」
声は既に断固としていた。
白玉穎は目が潤み、沈平の腕をきつく抱きしめた。「夫君、穎児は行きません!」
一夜無言。
沈平は妻たちを抱きしめたまま、そうしてただ静かに一晩を過ごした。
しかしその後の五日間。
彼はほとんど昼夜を問わず妻たちと魚水の歓びを重ねた。彼は自分に何の暇な時間も持たせたくなかった。一度でも暇になれば、彼の頭の中には妻たちの命が失われる光景が浮かんでしまい、その不安は既に心の底に根を下ろしているようだった。
……
商區の端。
真寶樓の飛空艇の傍らに。
金丹長老執事、築基賓客たちが皆ここに集まっていた。
彼らは自分の家族や友人が次々と飛空艇に乗り込むのを見守っていた。
「今回の飛空艇の目的地は我が真寶樓の魏國における総本部、青陽城だ。そこは大規模な修真城で、繁華で賑やかだ。雲山坊とは比べものにならない」
「他の宗門も魏國に入る際は、皆青陽城に拠点を置いている……」
この話を聞きながら。
沈平は突然、遠くの丹霞宗、合歡宗、さらには羅刹魔谷の飛空艇にも次々と弟子たちが乗り込むのに気付いた。
彼は理解した。
今回は真寶樓だけでなく、他の宗門も試験的に一団の修士を先に送り出そうとしているのだと。
彼の心は少し安らいだ。傍らの妻たちに言い聞かせた。「青陽城に着いたら、真寶樓が一時的に住まいを用意してくれる。そこでおとなしく待っているんだ。私もすぐに行くから!」
王芸と白玉穎は布で目尻の涙を拭い、瞳には深い別れの悲しみが溢れていた。
「夫君!」
「必ず来てください!」
飛空艇に乗り込み。
王芸と白玉穎は手すりの端に立って大声で叫んでいた。
彼女たちの姿を見つめながら。
沈平は呆然とした。彼の目の前にはこれまでの生活の点々が突然よみがえり、心の中に突然の衝動が生まれた。すぐに上がって彼女たちを傍に置いておきたかったが、結局それを抑えた。
「自分の身を大切にしてくれ!」
彼は全身の力を振り絞って叫んだ。
叫びの中で。
目尻からいつの間にか一筋の涙が落ち、烈日の下でとても目立っていた。
長年の情が生まれ。
六七年の朝な夕なの共に過ごした日々。
彼もやはり一人の人間なのだ。
人は草木ではない、誰が無情でいられようか!
飛空艇の端で。
王芸はこの光景を見て、笑った。涙に濡れた顔で笑った。
飛空艇が動き出し高空に消えるまで。
彼女はまだその一点を見つめ続けていた。涙は既に乾いていたが、まだ笑みを浮かべていた。
「やはり夫君の心の中に私がいたのね!」
その声が響いた瞬間。
王芸の仮想フレームが轟然と震動し、長く鳴り止まなかった。
深い銀色の光が眩しく輝き、しかしその光の深部で一筋の金色が太陽のように突然迸り、瞬く間に銀色全体を呑み込んだ。
その時。
金光が閃めいた。
すべての数値が一瞬で消え、再び現れた時には既に全く新しいものとなっていた。