その軍官は顔色を変え、葉錯は即座にある威圧感を感じ取った。それは本当に生死を経験した者だけが持ち得る気迫だった。軍人だけが持ち得る、そんな殺気を帯びた気迫。同時に、十数挺の機関銃の銃口が、一斉に葉錯に向けられた。
普通の人間ならば、とっくに足がすくんでいただろう。
しかし、葉錯にとっては、まるで子供の遊びのようなものだった。この程度の威圧感、この程度の構え、この程度の武器は、彼にとってはごっこ遊び以下のものだった。
雲野鶴は顔を曇らせ、その軍官に向かって言った。「莫隊長、この若者は秦せんせいの診察に来たのだ。秦せんせいの病は、彼にしか治せない。秦せんせいの治療の邪魔をしないでほしい。」
その莫隊長は雲野鶴の言葉を聞き、山のように落ち着いていた表情にも動揺が見えた。葉錯を上から下まで見渡したが、ただの普通の若者にしか見えなかった。その目は鋭い刃物のように輝いていたが、どう見ても普通の人間にしか見えず、この若者が雲さまでさえ解決できなかった病を治せるのだろうか?