第16章 惺惺相惜

「あ、あんたの都合のいい話!」雲霓の顔色が一変した。こんな時に葉錯に脅されるとは思いもしなかった。本当に厚かましい。

葉錯は微笑を浮かべながら彼女を見つめ、まるで「背中を叩かないなら、今日は治療しない」と言わんばかりだった。

雲霓は怒りで小さな胸が震えるほどで、葉錯のニヤニヤした顔を引き裂きたい衝動に駆られた。

しかし、おじいさまの方を振り向くと、期待に満ちた眼差しで自分を見つめているのが見えた。

雲霓は心中穏やかではなかったが、病床に横たわる秦おじいさんを見ると、普段は若者にも負けない気力に満ちた姿が、今や病魔に苦しめられ、ただの老人のように病床で体を丸めている。

雲霓は葉錯を憎んでいたが、思わず心が和らいでしまった。

彼女は葉錯を睨みつけながら、心の中で「ぶっ殺してやる!」と思った。

しかし、仕方なく葉錯の側に歩み寄り、可愛らしい小さな拳を握りしめ、背中を叩く準備をした。ところが、叩こうとした瞬間、ふと目を輝かせて言った。「葉さん、あなたはずっと怪しげな振る舞いをしてきた。おじいさまはあなたを信じているけど、私は信じないわ。治せるって言うけど、もし治せなかったらどうするの?これは先に話し合っておかないと」

葉錯は口角を上げた。「そうですね。言いづらかったんですが、あなたが言い出してくれたので聞きますが、もし治せたら、報酬はいただけますか?」

雲霓は「ふん」と吐き捨てた。「厚かましいわね。私が言う前に報酬の話を持ち出すなんて。今日、賭けをしましょう。もし治せなかったら、私の言うことを何でも聞くこと」

葉錯は頷いた。「では、治せたら?」

雲霓は一瞥した。「あなたが?言っておくけど、今のうちに私に殴られて出て行った方がいいわよ。後で正体がばれたら、逃げられなくなるわよ」

葉錯は言った。「質問に答えていませんね」

雲霓は怒りながら考えた。「もし治せたら、私もあなたの言うことを何でも聞くわ」

葉錯は手を差し出した。「取引成立!」

雲霓は葉錯と手を合わせたくなかったが、葉錯が手を差し出したままなので、怒りを込めて強く叩いた。自分の小さな手が火照るほど痛かった。

葉錯は座り、雲霓に目配せした。雲霓はそれを見て睨みつけ、怒って顔を背けた。

葉錯がまた目配せすると、雲霓は恥ずかしさと怒りで「病気なの?」と言った。