第17章 秦家英雄の令

人々の視線は、緊張して葉錯の手にある金針に注がれていた。

今回の葉錯の針を打つ速度は、珍しくゆっくりとしていた。まるで何かを探るように、慎重な様子だった。

一本の金針が、なんと三十分かかっても打ち終わらず、葉錯が金針を徐々に刺していくにつれて、秦せんせいの顔色が急変した。元々灰色がかっていた顔色が、突然血色が良くなり、まるで極めて健康な人のようになった。

周りの人々が喜ぶ間もなく、恐ろしいことに気付いた。秦せんせいの顔色がどんどん赤くなり、最初の健康的な血色から、最後には血で満たされた風船のように、真っ赤な血液が皮膚を破って噴き出しそうになっていた。

この状況に病室の雰囲気が再び緊張に包まれた。雲霓は小さな手で雲野鶴の服の裾を握り、鼻先に汗の滴が落ちそうになっているのも気付かないほどだった。

雲野鶴も両目を葉錯の手にある金針に釘付けにしており、自分の乾いた手で髭を撫でる動作さえ忘れていた。

一方、秦扶蘇はこの時、秦せんせいを見ることなく、冷静な表情で葉錯を見つめていた。まるでベッドに横たわっているのが自分の祖父ではないかのように、少しも緊張した様子を見せなかった。

葉錯もそれに気付いており、心の中での危機感がさらに深まった。これは彼が初めて、武術を全く知らない人物に対してこれほど強い警戒心を抱いた瞬間だった。

秦せんせいの顔色はますます赤くなり、ついに限界に達したかのように、突然口を開き、ワッと大量の血を吐き出した。

見ている人々は皆驚いたが、秦せんせいが吐き出したのは瘀血で、普通の瘀血のように黒ずんで腐臭を放つものではなかった。それどころか、この血の塊は瑪瑙のように鮮やかな色をしており、さらに不思議な香りを放っていた。