第39章 トラブル続き

雲霓は今度こそ完全に言葉を失い、葉錯の目を見つめる視線も、先ほどの強気な態度から、恐怖の色を帯びたものへと変わった。

彼女の脳裏に、ある光景が浮かんだ。それは、葉錯が手に持っている下着を着せられ、泣きながら歌って踊らされる自分の姿。そして葉錯が酒を飲みながら、淫らな笑みを浮かべて自分を見つめている様子だった。

そう考えた途端、雲霓は激しく首を振って叫んだ。「いやよ!」

葉錯はヘヘッと冷笑した。「お嬢ちゃん、今になって怖くなったか?」

雲霓は震える声で言った。「もしこれを着せようとしたら...私...おじいちゃんに言いつけるわ。あなたを許さないはずよ。」

葉錯が着せると言ったのは、ただの冗談で、本気ではなかった。しかし、雲霓が自分で想像を膨らませ、自分で自分を怯えさせていることに気付いた。葉錯は内心で笑いを堪えながらも、わざと意地悪そうな表情を作って言った。「へへへ、でもそれはおじいさんが信じてくれればの話だ。おじいさんは俺のことを気に入ってるはずだぞ。前回も、あの場に人がいなければ、きっと俺を孫婿にしたがったはずだ。」

「ふん、恥知らず。おじいちゃんは華夏第一の神醫よ。あなたみたいな人を孫婿に選ぶわけないでしょ?」雲霓はそう言いながらも、突然心臓がドキッとした。

彼女は心の中で「まずい」と思った。おじいちゃんは前回、確かに彼のことを気に入っていたような気がする。それに秦おじいさんも表格も彼のことを高く評価していた。あんなに重症な病気なのに、確信もないのに、彼に賭けさせたなんて。まさか...おじいちゃんは本当に彼のことを...まさか私は将来、彼と結婚することになるの?

雲霓はすぐにそれが悪夢だと感じた。「そんなはずない、私はあなたなんかと結婚しないわ。猫犬さんと結婚してもあなたとは結婚しない。」雲霓は心の中で少し怖くなった。普段は我儘な性格だったが、それは誰かが後ろ盾になってくれると知っていたからだ。でももし、おじいちゃんまでも相手の味方をしたら?そうなったら、自分にどれだけの発言権が残るだろうか?

葉錯は口を歪めて笑った。「趣味が変わってるんだな。猫犬さんとなら結婚したいって。そんな趣味の持ち主は俺には相応しくないな。」