第40章 秦扶蘇の要求

手の中のものを見て、葉錯はやはり隠しておいた方がいいと思った。今日はどうも運が悪いようで、誰に出くわすかわからない。蘇雅に見られでもしたら、あの子は考えすぎる性格だから、どんな方向に想像を膨らませるか分からない。そうなったら自分では説明のしようがない。

葉錯はその下着の箱を懐に入れ、少し歩いたところで、向こうから自転車に乗った男子学生が微笑みながら近づいてくるのが見えた。

秦扶蘇!

この男子学生は、小説によく出てくるような、女の子に特に人気のあるタイプだった。優雅で温和な性格で、しかも大半の金持ちの息子のような見栄を張る様子もない。四大公子の他の三人のように、どこへ行くにも高級車を連ねて、お付きの者を従えているわけでもない。

秦扶蘇はいつも一人で、ゆっくりと自転車に乗り、まるで学園の中で最も普通の一員のようだった。しかし、どこへ行っても、彼の雰囲気は自然と人々の目を引きつけてしまう。