雲霓はこの時とても複雑な気持ちだった。一方では、葉錯が惨めに負けて、恥をかいてほしいと思っていた。しかし他方では、あの嫌な投げ矢の王に勝ってほしくもなかった。
投げ矢の王が自分を見る目つきを見ていると、雲霓は吐き気を感じた。
彼女は葉錯の腕を引っ張って言った。「もうやめましょうよ。どうせ勝てないんだから」
葉錯は呆れて言った。「さっきのことは、君が始めたんじゃないか」
雲霓は話をそらした。「そうね...でも私は優しいから、絶対負けることをするのを見たくないだけよ」
葉錯は彼女の頭を軽く叩いた。「誰が必ず負けるって言った?」
雲霓は額をさすりながら言った。「死にたいの?痛いじゃない!」
葉錯は言った。「これは旦那を信じない罰だ」
雲霓は怒って言った。「信じたって無駄よ。相手は何年も練習してきたのが一目で分かるのに。自分から的を後ろに下げるなんて大口叩いて。負けても私のせいにしないでよ、自分のせいなんだから」
葉錯は言った。「もし俺が勝ったら?」
雲霓は不信感いっぱいの顔で言った。「勝てるの?もし勝ったら、私...私...」
葉錯は彼女を見つめて言った。「君はどうするんだ?」
雲霓は言った。「どうせ勝てないんだから、私がどうしようと関係ないでしょ?」
葉錯は言った。「それはどうかな。この前も君は俺が秦せんせいの病気を治せるとは信じてなかったけど、治せただろう?俺は奇跡を起こし続ける男なんだ。何と言っても君の将来の旦那なんだから、信じてくれないと」
雲霓は歯ぎしりして怒った。「もうそんな戯言言うと、口を引き裂いてやるわよ!」
葉錯はため息をついて言った。「はぁ、さっき誰かが俺のことを旦那って呼んでたような気がするけどな」
雲霓は歯がゆくてたまらなかった。葉錯のような厚かましい人に出会って、彼女はどうしようもなかった。以前、自分が泣くと葉錯が慌てふためいたことを思い出したが、あの時は本当に悔しくて思わず泣いてしまっただけだった。今、泣くのは難しい。結局、彼女は可愛そうな演技が得意な女の子ではなかったのだ。
雲霓は以前葉錯と病気の治療について賭けをしたことを思い出し、歯を食いしばって言った。「今回あなたが勝ったら、また私の処遇はあなたに任せるわ!」