第64章 絶望を味わったことがあるか

投げ矢の王は我慢できずに爆発した。「くそっ、これは...これは...ズルだ!」

葉錯は肩をすくめた。「何が?」

投げ矢の王は言った。「他人の投げ矢を落とさないって約束したじゃないか?」

葉錯は答えた。「空中で落とすなって話だろ?的に刺さってるのを落としたらどうしたっていうんだ?それに、俺の技術は下手くそだから、わざとじゃなくて、うっかり落としちゃっただけさ。お前の運が悪いだけだろ?」

投げ矢の王は崩壊寸前だった。周りの観客も口々に言った。「そうだよ、ルール違反してないじゃないか。自分の運が悪いのを誰のせいにするんだ?早く金払えよ。三本中二本も当てたんだから、お前の負けは決まりだ」

投げ矢の王は体を震わせながら、五千元を見つめ、そして楊さんを見た。楊さんはため息をつき、顔を背け、表情は暗かった。

投げ矢の王は青ざめた顔で、突然叫んだ。「これは三戦二勝じゃない、五戦三勝だ。一人五本ずつ、俺は少なく取りすぎた。今から二本ずつ追加して、三本以上当てた方が勝ちだ」

「おい、厚かましすぎだろ」周りの群衆からブーイングが起こった。この投げ矢の王はいつも偉そうにしていて、投げ矢も上手そうに見えたが、まさかこんなにズルをするとは、今日みんな目の当たりにした。

雲霓は怒って言った。「あまりにもズルすぎよ。明らかに三本勝負だったのに、今さら五本に増やすなんて」

投げ矢の王は顔を黒くして雲霓を見つめ、心の中で罵った。くそっ、この生意気な女め、俺の味方をせずにこいつの味方をするとは、お前らは絶対ろくな奴らじゃない、くそっ!

投げ矢の王は雲霓を無視し、葉錯に向かって言った。「さっきルールをはっきり説明しなかったんだ。実は五本勝負なんだ。ここではみんなそうやってるんだ、ずっとそういうルールだ。そうだろ、楊さん?」

楊さんは顔を背け、相手にする気がなかった。本当に恥ずかしくて仕方がなかった。さっきまで自分を罵っていた投げ矢の王が、勝つためなら急に楊さん呼ばわりだ。

楊さんは本当に相手にしたくなかったが、ふと考えた。自分の五千元は貸し出したものだ。もし投げ矢の王が負けたら、このチンピラみたいな奴の遊び人ぶりからして、絶対に返せないだろう。