第72章 大英雄・葉錯

外の近所の人々も、サイレンの音を聞いて、みんな緊張し始めた。

「まさか八戒おねえさんの言ってたことが本当なのか？ありえないだろう、錯さんはいつもおとなしくて、思いやりのある子だ。この年寄りの体で、彼が毎日水を運んでくれなかったら、本当に生きていけなかったよ」と六おじさんはため息をつきながら言った。

「そうだよ、あんなに分別のある子で、外で虐められても家に帰って一言も言わない、なんて素晴らしい子だろう。八戒おねえさんの家のあの悪ガキとは雲泥の差だよ」

八戒おねえさんは冷ややかに鼻を鳴らした。「私の息子がどうしたって？私の息子がどんなに悪ガキでも、少なくとも強姦はしていないわ！あの葉錯ときたら、醜くて気の弱い奴で、学校でも女の子に相手にされないし、大きくなっても嫁さんも見つからないでしょう。そんな奴がこんな恥ずかしいことをするのは当然じゃないの」

「黙りなさい！」徳の高い老人が杖で地面を叩いた。「八戒おねえさん、みんな近所の人間じゃないか、人の不幸を喜んで何になるんだ？葉家に何かあったところで、あんたに何の得があるんだ？」

八戒おねえさんはすぐに反論した。「ああ、三おじさん、あなたは近所で一番徳のある方で、みんなが敬っていますよね。なぜですか？あなたは是非をわきまえているからです。今は葉家が恥ずかしいことをして、みんなの顔に泥を塗ったのに、彼らを責めずに私を責めるなんて、納得できません！」

三おじさんは痩せこけていて、山羊髭を生やしており、雲野鶴とどこか似ているところがあった。ただし、雲野鶴は華夏第一の神醫として、生まれながらの気品があった。それに比べて、三おじさんはより農村の慈悲深い老人という感じだった。

三おじさんは杖をつきながら言った。「みんな一家のようなもので、近所づきあいだから、お互い大変なんだ、助け合っていかないと」そう言って葉お母さんに向かって「錯さんのお母さんも心配しないで、警察の言うことを聞いてみましょう。もし本当に錯さんが悪いことをしたのなら、私たちも認めます。もし女の子が示談に応じてくれるなら、賠償金を払うべきなら払う、お金がなければみんなで出し合います。もし示談に応じないなら、告訴されて、刑務所に入るべきなら入ればいい。男は間違いを恐れてはいけない、錯さんはまだ若いんだから、出てきたら良く教育して、改心すればいいんです」