第67章 本物の痴漢

向こうの夜市で、雲霓と葉錯の二人は道中ふざけ合いながら歩いていた。葉錯は紳士らしい振る舞いは一切なく、雲霓も淑女とは程遠かった。

その夜、雲霓はずっと憂鬱な状態だった。まず葉錯に地面に押し倒されてパンツの色を見られ、次に不注意で初キスを奪われ、最後に賭けにも負けて、これからは葉錯の言いなりになるはめになった。考えるだけで今日は大損したと感じずにはいられなかった。

隣を歩く葉錯を見ながら、雲霓は彼をつねって仕返ししたくなった。しかし葉錯の反応は素早く、そんな機会を与えるはずもなかった。

「葉錯、さっきはけっこう気前がよかったじゃない。五千元ってあなたにとって小さな額じゃないでしょう?なのにどうして目も瞬きせずに返しちゃったの?」雲霓は少し気になった。

裕福な家庭の学生でも、五千元は決して小さな額ではない。そして葉錯の家庭環境が豊かでないことは、学校中が知っていた。