葉錯は前世も今世も友達がほとんどいなかった。秦浩はせいぜい彼の子分のような存在で、二人は前世では苦労を共にした仲間だった。しかし、秦浩は葉錯の心理をまったく理解していなかったため、友達とは言えなかった。
今日になって初めて、葉錯は秦扶蘇が価値のある友人だと気づいた。二人の考え方や行動原理は全く異なるものの、自分の心の中にある信念を守ろうとする姿勢は同じだった。
秦扶蘇と共に秦家の庭園に入ると、奥深い庭園には趣のある配置がなされ、假山や蔓、曲がりくねった小道が奥へと続き、亭台楼閣が立ち並んでいた。
葉錯は心の中で感嘆せずにはいられなかった。さすが秦家だ。雲海市の中心地で、喧騒の中にこのような雅やかな庭園を造り上げるとは、さすがの手腕だ。
庭園の中心には蓮の花で満たされた金魚池があり、その中央には風情のある東屋が建っていた。二人の老人がその中で向かい合って囲碁を打ち、傍らでは上等なお茶が淹れられていた。茶の香りが漂い、これほど離れていても香りは凝縮したまま、一目で高価な上等茶だとわかった。