葉錯が先日殺人強姦犯を捕まえたことで、彼の住む地域が少し有名になり、市内の多くのメディアが競って取材に来ていた。
葉錯は当然取材を受けるつもりはなく、できる限り避けていたため、記者たちは葉錯に取材できず、近所の住民たちに取材するしかなかった。
これらの近所の住民たちは、社会の最下層の人々で、普段はテレビに出る機会などなく、今回取材を受けて、皆興奮していた。
以前は葉家が貧しいことを軽蔑していた人々や、葉お母さんを雑用係として雇っていた際に冷たい態度をとっていた人々も、こっそり肉や果物などを持って訪れ、「お姉さん」と呼びながら謝罪するようになった。
葉家は葉のお父さんが半身不随になって以来、苦難と虐げを受け続けてきたが、今になって、葉錯のことで、完全に状況が変わった。
以前は葉お母さんが外出すると、まともに見向きもしてくれる人はほとんどいなかったが、今では遠くから会っても皆が立ち止まって挨拶し、ついでに葉錯のことを褒め、葉お母さんは誇らしくも辛い気持ちになった。
そして以前は葉家をいじめていた八戒おねえさんのような人々も、今では随分大人しくなった。ある時、葉お母さんが八戒おねえさんの店で買い物をしたとき、八戒おねえさんは怯えて震え、必死に店を壊さないでくれと懇願した。
葉お母さんは苦笑いしながら買い物に来ただけだと言うと、八戒おねえさんはすぐに「お姉さん、好きなものを持っていってください。お金はいりません」と言った。
葉お母さんは笑って「そんなわけにはいきませんよ。みんな生活があるんですから、どの家も大変なんです」と言って、強引にお金を八戒おねえさんに渡した。八戒おねえさんはその場で泣き出し、鼻水と涙を流しながら、これからは葉お母さんを本当の姉のように扱い、二度と以前のような無礼な真似はしないと誓った。
この時、芊芊は外で車を探していて、葉のお父さんを病院に連れて行く準備をしていた。近所の人々がそれを聞いて、すぐに動き出し、しばらくすると広い車室の大きな車を見つけてきて、さらに近所の人々が毛布を持ってきて、先に敷いておいた。
何人かの若くて力のある男たちが、葉のお父さんを家のベッドから運び出した。
葉錯は傍らで、手を出すことができなかった。