葉錯は冷たく楊おじいさまを見つめた。「楊家は憶測だけで人を罪に定めるのですか?」
楊おじいさまは静かな目をしていたが、手の中の鳳瞳石をしっかりと握りしめ、言った。「このような宝物は、常に国家に属するものだ。民間に流出すれば、宝石が損傷する恐れがある。私はこの宝石を国家に上納するつもりだ。お前は関わらなくていい。」
葉錯は冷笑した。「他人の物を国家に献上するのですか?」
楊大偉が言った。「お前に何がわかる?祖父は最も愛国的な人だ。自分のコレクションの絵画、何万元もの価値があるものを、すべて国家に献上したんだ。祖父自身の物でさえ献上できるのに、お前など何者だ、なぜ献上できないというのか?」
「あなたのおじいさまが献上したものが、この宝石の価値の一万分の一にも匹敵するのですか?数万元?あなたたちは国家を物乞いのように扱っているのですね?」葉錯は軽蔑の表情を浮かべた。
楊おじいさまは何とも言えない様子で答えた。「愛国の心は同じだ。価格の高低は関係なく、その心があればいいのだ。」
「では、私の物で心意気を示さないでください。」葉錯はさらりと言った。
楊おじいさまは淡々とした声で、手に鳳瞳石を握りしめたまま言った。「この宝石は私が預かる。国家に献上するつもりだ。今はもうお前とは関係ない。もはやお前の物ではない。」
葉錯はようやく理解した。楊おじいさまも善人ではなく、宝石を見れば自分のものにしたいと思うのだ。林輕雪でさえ、この時表情を変え、以前は尊敬していた楊おじいさまを信じられないという顔で見ていた。
「じいさん、あなたは強盗出身ですか?こんな堂々と奪って、それを立派な理由で飾り立て、自分を愛国者に偽装する。こんな厚かましい人は初めて見ました。」
葉錯の言葉に、楊おじいさまは面目を保てなくなった。彼は冷たく言った。「お前は勝手に国家の宝物を隠し持っている。これは違法行為だ。私が警察に通報しなかったのは、すでにお前への恩恵だ。感謝すべきだ。」
葉錯は思わず大笑いした。「ハハハ、私もいろんな人を見てきましたが、他人の物を奪っておいて、感謝を求めるとは。こんな厚顔無恥は生涯見たことがありません。」