第200章 畜生

葉錯は複雑に入り組んだ路地の中で、何周か回って周囲の環境を探った。

この龍さんについて葉錯も少し知っていた。彼の配下には解体チームがあり、よくショベルカーで他人の家を強制的に取り壊し、家主が抵抗すれば、手下を連れて家主を直接傷つけていた。ここ数年、強制解体による暴行事件が後を絶たなかったが、彼はなぜか罰を受けることがなかった。どうやら一定のバックがあるようだ。

大龍ナイトクラブの裏口には、従業員用の通路があった。今、料理人の服を着た男が青い小さな台車を押していて、その上には人の背丈ほどの青い大きなバケツがあり、バケツの中には厨房の生ゴミが入っていて、吐き気を催すような臭いを放っていた。

その男はハミングしながら歌を歌い、大きなゴミバケツを小さな部屋に運び入れた。葉錯はさっと身を隠し、男が部屋に入った瞬間に後をついて行った。

この男は明らかに葉錯に気づいておらず、大きなバケツを下ろした後、ポケットからタバコを取り出し、火をつけようとしていた。

葉錯は素早く動き、男の後頸部に一撃を加えた。

その男は声も出さず、目を白黒させて気絶した。

葉錯は彼が倒れるのを待たずに抱きかかえ、料理人の服を脱がせ、コックの帽子を取って自分の頭にかぶり、さらに彼のポケットからマスクを見つけた。

自分の服を着替え、その男を空の青いバケツに放り込み、蓋をして、小さな台車を押してナイトクラブの内部に入った。

台車を押しながら従業員専用のエレベーターで上がり、ちょうど2階に着くと、チンピラのような二人の男が入ってきて、嫌そうな顔で葉錯を一瞥した。「お前、新人か?」

葉錯は頭を下げて黙っていた。

その男は言った。「くそっ、何度言ったら分かるんだ。俺たちがエレベーターに乗るのを見たら、自分で降りろよ。臭いんだよ、分かるか?」

この男が葉錯を殴ろうとすると、隣の男が眉をひそめて言った。「やめておけよ、狗兄さん。今日は龍さんが機嫌いい日だ。人と喧嘩するな。龍さんに知られたら、また怒られるぞ。」

その狗兄さんは葉錯を睨みつけた。「今日はお前の運がいいな。普段なら、俺がお前を殺してるところだ。」

二人はエレベーターのボタンを押し、葉錯は二人の背後で顔を上げ、目に冷たい光を宿した。