蘇乘羽に抱かれて、蘇笑笑は心から安心感を覚え、蘇乘羽の胸にぴったりと寄り添った。
最も素晴らしいものとは何か?
蘇笑笑にとって、お兄ちゃんと一緒にいて、彼の腕の中にいることが最高の幸せだった。
蘇乘羽は車のドアを開け、蘇笑笑を助手席に座らせ、かなり損傷したパラメラを運転して出発した。
「お兄ちゃん、これ誰の車?」
「知らない」
「え?」蘇笑笑は驚いた。
「お前を助けに急いでいたから、道端で適当に車を奪っただけだ」蘇乘羽は平然と言った。
蘇笑笑は口を大きく開け、驚きの表情を見せたが、心の中では甘い幸せを感じていた。
「お兄ちゃん、これパラメラよ。1000万円以上するのに。白昼堂々と車を奪うのもそうだけど、こんなに傷つけちゃって」
「急いでいたんだ。そんなこと考えている余裕なんてなかった。後で持ち主に連絡して弁償するさ」
蘇乘羽のカードには許叔母からもらった1000万円が残っていたが、それで足りるかどうか分からない。もともと金欠だった蘇乘羽は、またもや貧乏になってしまった。
蘇乘羽は恐らく、史上最も貧しい修真者だろう!
「でも私たち、弁償するお金ないよ」
蘇笑笑も今は無一文だった。家を買うのに全財産を使い果たし、やっと蘇乘羽との二人の家を手に入れたのに、また売らなければならないのだろうか?
蘇笑笑は少し名残惜しく思った。
「お金のことは俺が何とかするから、心配するな」
蘇乘羽は心の中で、結局許叔母に頼むしかないな、まるで本当に許叔母に囲われている男みたいだと思った。
「家を売ることにしようか」
蘇笑笑は蘇乘羽にサプライズを用意していたが、もう隠す必要もなくなった。
「どんな家?」蘇乘羽は尋ねた。
蘇笑笑は唇を噛んで言った。「今日、中古マンションを買ったの。霖江大学の近くで、もうホテル暮らしはさせたくないから、私たちの家が欲しかったの」
「どこからそんなお金が出てきたんだ?霖江大学付近の物件なら、最低でも2000万円はするだろう?」
蘇笑笑はすぐに芸能事務所との契約の件を全て話した。
「お兄ちゃん、怒ってない?」蘇笑笑は恐る恐る聞いた。