第51章 趙衝を殺す

趙衝は右足で半円を描くように前に踏み出し、カチッという音とともに地面のタイルを踏み砕いた。両拳を固く握り、先ほどよりも気迫が増していた。

「小僧、今日はお前を殺すつもりだが、正直に言おう。お前の実力は霖江十大高手に匹敵する。廖啟章ではお前の相手にはならないだろう」

「廖啟章とは誰だ？」と蘇乘羽は尋ねた。

「霖江十大高手の第十位、五品大師の廖啟章だ」

趙衝のこの言葉は、姜家と陳家に蘇乘羽の実力を証明するものでもあった。霖江十大高手は、誰もが認める存在であり、両家も手を出せない相手だった。

「蘇乘羽！あなたが霖江十大高手と肩を並べるほどになっていたなんて！」

姜語嫣の心には、憎しみの他に、思わず後悔の念が湧き上がった。

十大高手の妻となれば、霖江でほぼ横行できるほどの立場となり、どこへ行っても面目が立つ。

陳俊が彼女にもたらす面目よりも、はるかに大きな威厳があったはずだ！

しかし姜語嫣は、もう後戻りできないことも分かっていた。後悔しても無駄だと、ただ蘇乘羽がここで死ぬことを願うばかりだった。

「お前に勝てば、俺が第九位になる」蘇乘羽も再び構えを取り、対抗して言った。

「随分と傲慢だな！お前の年齢でその実力なら、確かに傲る資格はある。私はお前の年齢の頃、お前ほどではなかった。だからこそ今日お前は死ぬ。将来私を脅かす敵は残さない」

「その言葉、お前の弟子の石破金も私に言っていた。だが最後に死んだのは奴の方で、私は今も元気にしているがな」蘇乘羽は淡々と笑いながら言った。

「趙大師、早く奴を殺してください。長引かせる必要はありません！」

顔を潰された陳俊は痛みに耐えかね、趙衝が蘇乘羽とグダグダと話している様子に我慢できず催促した。

「黙れ！私に何をすべきか教える資格などないぞ！」

趙衝が冷たく叱りつけると、陳俊は急いで口を閉ざし、もう催促する勇気はなかった。

そしてまさにその瞬間、蘇乘羽が先に動いた。今回は、彼が先制攻撃を選んだのだ。

先ほどの戦いを通じて、蘇乘羽は趙衝の実力を明確に把握し、自分自身にも自信を持てるようになっていた。

「よく来た！」

趙衝は大声で叫び、虎のような拳を繰り出し、再び蘇乘羽との激しい戦いを展開した。純粋な実力で言えば、確かに趙衝の方が若干上回っていた。