第34章 妙手の陳神医

蘇乘羽は周家を出て、周晉平が後を追いかけてきた。

「羽兄、申し訳ない、本当に申し訳ない!こんなことになるとは思わなかった。」周晉平は申し訳なさそうな表情で言った。

「君のせいじゃない、謝る必要はないよ。」

蘇乘羽は相変わらず落ち着いていて、本当に怒ってはいなかった。

「この数年間、私はずっと海外にいて、君のことは何も知らなかった。どうして...」

「どうしてこんなに落ちぶれたのかって?」蘇乘羽は笑いながら言った。

「いや!そういう意味じゃない、どうして刑務所に入ることになったのかって聞きたかったんだ。」周晉平は言った。

「長い話だよ、過去のことだから、もう言うまい。」

蘇乘羽は手を振り、周晉平も今の状況では蘇乘羽がこれ以上留まるのは適切ではないと分かり、言った:「今どこに住んでるの?送っていくよ。」

「いらない、お母さんの面倒を見てあげて。余計なことを言わせてもらうと、陳菖蒲が出した処方箋には問題がある。服薬後、お母さんは一時的な回復を見せるだろうが、それは本当の治療法ではない。」

「もし、まだ私を信じてくれるなら、危機的な時は私に電話をしてくれ。」

蘇乘羽は周晉平の肩を叩いてから、そのまま周家を後にした。

周晉平が戻ってくると、韓琳が言った:「これからはあんな人とは付き合わない方がいいわ。良からぬことを企んでいるわ、もう少しで騙されるところだったわ。」

「それは本当にありがたいね。ふん!」

周晉平は冷たく鼻を鳴らし、韓琳に良い顔を見せなかった。

「その態度は何なの?あなたのためを思って言ってるのよ、騙されないようにって。詐欺師のために、私に当たり散らすなんて。」

韓琳は委屈そうな顔をしたが、周晉平は相手にする気がなかった。

しばらくすると、周朝明の秘書が陳菖蒲の息子のローン審査書類を持ってきた。

陳菖蒲は周朝明が署名し捺印するのを目の当たりにし、完全に安心した。

「私が今から鍼を打ち、薬が煎じ上がる頃には奥様は目を覚まし、その薬を飲めば良い。今夜を乗り越えられれば、明日症状が悪化しなければ、奥様は助かったということで、あとは調養の薬を出すだけとなります。」