林正勳は蘇乘羽をじっくりと観察し、驚きのあまり言葉を失い、急いで言った。「蘇神医の命の恩に感謝いたします。私の目が曇っていて、蘇神医がこんなにも若くて優秀だとは知りませんでした。どうかお許しください」
「そんなに気を遣わないでください。私も無料で治療しているわけではありません。お金をいただいて仕事をするのは当然のことです」と蘇乘羽は淡々と言った。
「蘇神医、ご安心ください。お約束した報酬は必ず、それ以上をお支払いいたします。どう考えても、あなたは我が林家の大恩人です」
林致華は懸命に蘇乘羽に取り入った。
「致華よ、今回お前は大功を立てたな!お前が蘇神医を呼んでくれなければ、私のこの命はなかった。お前の能力と孝行の心、しっかりと見させてもらった。私が百年の後には、林家はお前に任せれば安心だ」
林正勳のこの言葉は、実質的に林致華を後継者として公に宣言したようなものだった。
「父上、息子は必ずやあなたの期待と重責に応え、全力を尽くして林家をさらなる高みへと導いてみせます」
林致華は有頂天になり、興奮を抑えきれず、自分の機転の利さを密かに誇らしく思った。もし林致遠のように目先のことしか考えず、及び腰だったら、この天与の好機を逃してしまっていただろう!
林致遠と林致柔の表情は険しかった。特に林致遠は、長男として、林正勳がずっと後継者にするつもりで、陰ながら多くの支援をしてきたのだ。
結局は一手遅かったのだ。天が与えてくれた機会を、自分が無能で掴めなかった。それどころか林致華に利を譲ってしまった。
林致遠は今、黄連と鶏糞を食べた哑巴のような顔をして、苦しくてたまらないのに、その苦しみを口にすることもできなかった!
林致遠は林幻風の言葉を聞かなかったことを後悔し、好機を逃し、完全に負けてしまった。
林致華の妻もこの機会を利用して林正勳の前で告げ口し、林致遠と林致柔が老爺を殺しかけた、林初雪は不孝で病院にも来なかったと非難した。
林正勳はこれを聞いて、老いた顔に怒りが湧き上がり、林致遠を厳しく叱責した。
「医薬品事業と仁心病院の経営を任せたが、お前は一体どんな成果を出したというのだ?最後には、私が病で瀕死の状態になっても、命を救ってくれる医者すら見つけられず、素人の致華にも及ばなかった!私はお前に大変失望した!」