第90章 幻影十字拳

華展堂は蔡家拳の宗師である蔡義根に師事し、蔡義根の得意な弟子とされており、江東省の武学界では、三拳二掌一鷹爪という言い方が昔からある。

この六派の武学は江東省で長年名声を博し、門下の弟子も多く、高手も輩出し、江東武学界の中流砥柱となっている。

蔡家拳は、この三拳の一つである。

練武の人は皆、この三拳二掌一鷹爪の六派に加入することを誇りとし、これらの派に加入すれば、上乗武術を学べるだけでなく、強力な後ろ盾を得られ、さらにもう一つ重要なことがある。

江東龍魂司が新メンバーを募集する際、この六派の弟子を優先的に採用する。一旦龍魂司に加入すれば、その身分と地位は一層異なるものとなる。

華展堂の出自は決して高くなく、両親は普通の人であったが、彼には極めて高い練武の才能があり、蔡家拳館に入門した後、蔡義根に見出され、直弟子として迎えられ、それ以来運命が変わった。