第91章 力は正義を制す

短剣が体に突き刺さろうとする瞬間、蘇乘羽の目に侮蔑的な冷光が閃いた。すぐさま背後に手を回し、負傷した左手を剣のように指を揃えて、鋭く突き出した。指先は華展堂の右手に命中した。

華展堂は激痛を感じ、経脈がこの一撃で砕かれ、手から短剣が落ちた。

蘇乘羽は拳を構え、天下大成拳の第一式、大直の型を繰り出した。

華展堂も素早く反応し、両腕を交差して防御したが、蘇乘羽の天下大成拳はそう簡単に防げるものではなかった。

華展堂の両腕はこの一撃で骨折し、まるで車に轢かれたかのように吹き飛ばされた。空中で血を吐き出し、地面に激突して数メートル転がってようやく止まった。

華展堂、重傷を負って敗北!

「師兄!」

方晴は驚きの声を上げ、口を大きく開けたまま、信じられない様子だった。彼女が最も尊敬する師兄が、蘇乘羽に敗れるなんて?!

林初雪もまた深いため息をつき、珍しく微笑みを浮かべた。心配していた気持ちがようやく落ち着いた。

蘇乘羽は身を躍らせ、二度跳んで華展堂の前に着地した。華展堂は顔面蒼白で地面に横たわり、もはや戦う力は残っていなかった。

「お前が...どうして...私に勝てるはずがない!」

華展堂は言葉を発し、目を剥いて血を吐き出した。蘇乘羽は華展堂の胸に足を乗せた。三日前、華展堂が彼をこのように踏みつけたように。

この展開は余りにも急だった。華展堂はこんな日が来るとは夢にも思わなかった。

「力が道理を制す!私の武術がお前より強い、それが道理だ!」

蘇乘羽は重傷を負った華展堂を見下ろし、冷たい眼差しを向けた。

方晴は我を忘れて駆け寄り、叫んだ。「蘇乘羽、師兄を放せ!」

蘇乘羽は方晴に指を向け、冷たく言った。「方隊長、私と戦うつもりか?」

「私は...」

方晴は蘇乘羽の前で、もはや少しの誇りも持てなかった。方晴の目には、師兄の華展堂は若い世代の俊才だったが、今やその俊才は蘇乘羽の足下に踏みつけられていた。

方晴のすべての誇りは、再び蘇乘羽によって粉々に砕かれた。

「私の師兄は龍魂司の若司馬です。あなたは彼を殺せません。さもなければ龍魂司があなたを許しません。龍魂司と対抗する勇気があるのですか?」

方晴は蘇乘羽が片手で彼女を地面に押さえつけられることを知っていたため、龍魂司を持ち出して蘇乘羽を威嚇するしかなかった。