蘇乘羽は方晴に手を出さなかった。この女は本質的には悪くない、ただ恵まれた環境で育ち、性格が少し傲慢なだけで、今日のような事態を引き起こしてしまったのだ。
蘇乘羽は剣先で崔岩の槍を弾き上げ、手に取った。
「この槍はなかなかいいものだな。今からこれは私のものだ。戦利品として頂戴する。彼女を連れて行くがいい」
「蘇乘羽!私の槍を返せ!」
崔岩は諦めきれなかった。この槍は蔡拳門の先人が遺したもので、彼が槍術に精通していたため、蔡義根が彼に授けたものだった。
もし蘇乘羽に持って行かれたら、門に戻っても申し開きができず、必ず厳しい処罰を受けることになる!
「力があるなら、自分で取りに来い」蘇乘羽は冷たく言った。
「もういいわ、師兄、あの人に渡しましょう!」
方晴が崔岩を支えて去る中、李元滄は観客席から飛び降り、長髪を振りながら言った。「お前、本当に命が強いな。剣を返せよ」