蘇乘羽は分かっていた。戦っても勝てるはずがない。ただ斬妖司の名前を借りて、この妖人を怖がらせて退かせることができるかどうか試すしかなかった。
斬妖司はこういった妖人を専門に斬り殺す組織で、妖人たちの天敵だった。斬妖司の名前を聞くだけで、妖人たちは恐れおののくのだ。
案の定、この妖人は恐怖の色を顔に浮かべ、一歩また一歩と後退し、すぐに振り返って逃げ出した。
「どこへ行く!本斬妖使は今日必ずお前のような妖人を斬り殺す!」
蘇乘羽は大声で叫びながらも、体は正直で、全く追いかけようとはしなかった。
冗談じゃない、この妖人の実力はとても強い。本当に追いかければ、それは死に行くようなものだ!
蘇乘羽は妖人がすぐに姿を消したのを見て、ほっと息をつき、冷や汗を拭いながら言った。「斬妖司の名前は、やはり効果があるな!」