第239章 許南枝の告白

蘇乘羽の手に冷たい光が一閃し、鋭い短剣で任千重の左手首を切り落とした。血が流れ出る中、任千重もそれを代償に、もう一つの鉤鎌杖を蘇乘羽の胸に振り下ろし、ばさりという音とともに血の跡を残し、蘇乘羽は腹を裂かれそうになった。

観客席では、どよめきが起こり、林初雪と方晴が思わず立ち上がった。林初雪は恐怖で口を押さえていた。

任千重は顔色が青ざめ、切断された手の重傷も構わず、蘇乘羽に向かって突進し続けた。

「任宗師はこれは蘇乘羽と共倒れする戦い方だ!」

「あまりにも壮絶だ!霖江の一代の宗師が、蘇乘羽という新星に追い詰められ、共倒れを狙うとは思わなかった!」

この決闘の素晴らしさは、誰もの予想をはるかに超え、最終的な結果も想像とは大きく異なるものだった。

蘇乘羽も任千重の命を賭けた戦い方を見抜き、彼に一切の機会を与えず、幻影十字拳の一撃で連続して任千重を三回も打ち、彼を吹き飛ばした。

任千重の体は地面に激しく叩きつけられ、大量の血を吐き出した。

観客席は騒然となった!

「任宗師が、本当に負けたのか!」

任千重は地面から飛び上がり、顔色は青白く、もはや力尽きていた。

「思わなかったな、老夫が今日ここで死ぬとはな。」

任千重は血に染まった衣服を着て、状況が覆せないことを悟った。命を賭けても、蘇乘羽に傷を負わせることしかできず、共倒れは不可能だった。

蘇乘羽は一歩一歩と任千重に近づいていった。胸の傷は見た目は恐ろしかったが、致命傷ではなかった。

「お前を送ってやろう!」

蘇乘羽は任千重に生きる道を残すつもりはなかった。これは生死を賭けた決闘であり、勝敗だけでなく、生死も決める。もし今日勝ったのが任千重なら、同様に彼も命を助けなかっただろう。

「任千重が敗れた、霖江の新王が誕生する。この一戦は、霖江の長年変わらなかった構図を変えるだろう!」

徐陵山と周朝明は一緒に座り、この光景を見て安堵の息をつき、感慨深げに言った。

任千重の敗北は、洪鎮亭の時代が終わることを意味し、蘇乘羽は一人の力で霖江の構図を変えた。

蘇乘羽は、霖江の新王となるだろう!

無数の人々の目撃の下、蘇乘羽は霖江の頂点に立った。

もちろん、蘇乘羽にとって、これは誇るに値しないことだった。霖江はあくまで小さな場所に過ぎない。