第19章_3

「ここらへんじゃ、そんな強い毒を持つ蚊なんていませんよ。中毒症状にも見えないし、そんなに早く発症するはずもない。朝はまだ元気だったって言ってましたよね?」

「はい、朝は全く普通でした」

「はぁ」医者は困ったように言った。「近くの町の保健所で診てもらったほうがいいでしょう。そこで検査してもらって。私のところでは、頭痛や熱くらいしか診られませんから」

「先生、私もこうなんです」薛亮亮は両腕の袖をまくり上げた。

傍らに立っていた李追遠は、彼の腕に自分と同じような灰色の斑点があるのを見た。

そうか、昨夜あの女も彼の前にしゃがんでいたんだ。趙和泉ではなく彼を掴もうとしていたのだから、彼の体に肉片が飛び散ったのも当然だ。

「早く病院に行きましょう。あなたも一緒に検査を受けて。伝染病かもしれないから」

「はい、じゃあ友人をここに置いて、車を探してきます」

医者は眉をしかめたが、うなずくしかなく、ポケットから古いマスクを取り出して付けた。

薛亮亮が出て行った後、医者は再び趙和泉を見た。この時、趙和泉はすでに意識が朦朧としていた。

医者は呟いた:「病気というより、穢れものに取り憑かれたようだ」

裸足の医者は新中国設立後、国家が組織的に訓練または指定した基礎的な医療知識を持つ人々で、正式な職位はなく、農業と医療を兼業していた。医療の専門性では正規の病院の医師には及ばないものの、特定の歴史的時期において農村部の医療条件の向上と保障に大きな貢献を果たした。

同時に、この職業の特性から、特殊な難病に対して独自の理解を持ち、それほど排他的ではなかった。

「何とおっしゃいました?」李追遠は聞き取って、興味深げに尋ねた。

医者は黙っていた。子供を怖がらせるようなことを言うつもりはなかった。

「穢れものに出会って、取り憑かれたんですか?」李追遠は積極的に尋ねた。「どうすれば解決できますか?」

医者は少し笑って言った:「小僧、どう解決するかなんて私に分かるわけないだろう。私は医者だよ、占い師じゃない」

李追遠は少し落胆した。どうやら、帰って曾祖父が戻ってくるのを待つしかないようだ。

実は、劉金霞と李菊香おばさんもこういった問題の解決法を知っているようだったが、彼女たち母娘の解決方法があまりにも単純で乱暴すぎて、頼みづらかった。