第68章:無盡剣図、破剣の型【新書応援求む】

翌日。

下山まであと二日を切った。

蘇長御はすでに下山していた。太華道人と一緒に下山し、何をしに行ったのかは分からない。

青雲後崖の下で。

葉平の剣の速さはますます速くなっていた。

ただの基礎剣術とはいえ。

この基礎剣術は、葉平の手にかかると神業のような感覚を醸し出していた。

残念なことに、深夜になっても、葉平は大師兄の新しい剣技を悟ることができなかった。

深夜。

葉平は一人で崖下に座っていた。

下山まであと二日。

この下山で何か厄介なことに遭遇するかもしれない。だから葉平は早めに新しい剣技を会得したかった。そうすれば、危険に遭遇しても、少なくとも一つの保証になるだろう。

しかし残念なことに、自分の資質があまりにも鈍すぎた。

一ヶ月近くになるのに、まだ完全に悟ることができていない。

そしてその時。

二つの人影が青雲道宗に現れた。

蘇長御の姿だった。

この時、蘇長御は包みをしっかりと抱え、目に喜びを満ちあふれさせていた。

太華道人も包みを手に提げ、少々不機嫌そうに蘇長御を見ながら言った。

「長御よ、お前が欲しがっていた錦繍の白鶴雲紋の長袍を師が買ってやった。今度の下山では、弟子をしっかり見守るのだ。決して失敗は許されんぞ。もし何か問題が起これば、師匠としてお前を許さんからな」

太華道人は少々不機嫌そうに言った。

早朝から蘇長御が自分を訪ねてきて、青州剣道大会に参加するなら、新しい服を買って、自分を引き立てる必要があると言い出した。

最初、太華道人はもっともだと思ったが、まさか蘇長御が天衣閣に連れて行き、一式の長袍に百両の黄金もかかるとは思わなかった。

百両といえば、青雲道宗の一年分の収入だ。

しかも一度に何着も買った。結局、宗門の弟子たちみんなに行き渡るように、太華道人は平等に分けることにした。

正直に言えば、今手元に少しお金があって、さらに蘇長御の言い分にも一理あったからこそ、そうでなければ死んでも買わなかっただろう。

「師匠、ご安心ください。必ず小師弟の面倒を見ます」

蘇長御は喜びに満ちていた。

この錦繍の白鶴雲紋の長袍は、今年の新作で、彼が長年夢見ていたものだった。まさか自分がこの服を着られる日が来るとは思わなかった。

この瞬間、蘇長御は人生の勝ち組になった気がした。

しかし蘇長御は今は着ていない。もったいなくて着られず、下山する日に着ようと思っていた。

「これをお前の師弟に持って行け。あと二日ある。もう少し弟子を指導してやれ。長御よ、師の野望は大きくない。十位以内、十位以内に入れれば、師は満足だ」

太華道人は真剣に言った。

彼は分かっていた。蘇長御が教えても教えなくても大差ないことを。結局は葉平の才能次第だ。

それでも彼は蘇長御に少しでも努力してほしかった。たとえ葉平がほんの少しでも進歩できれば、それで満足だった。

「今すぐ彼を探しに行きます」

蘇長御は頷き、太華道人から渡された包みを受け取り、青雲後崖へと向かった。

崖へ向かう途中、蘇長御は許洛塵に出会った。

後者は夜の散歩をしており、表情は憂いに満ちていた。これだけ時間が経っても、まだトラウマから抜け出せていないようだった。

「洛塵」

おそらく機嫌が良かったのだろう、蘇長御は許洛塵に挨拶をした。

後者は顔を上げ、目に驚きの色を浮かべた。

「大師兄」

彼は反射的に声を出し、呼びかけた。

「洛塵、錬丹試験大会がもうすぐだ。しっかり頑張って、早く丹薬師になるんだ。師兄はお前を信じている。気を落とすな」

蘇長御は許洛塵を励ました。

しかし許洛塵は思わず固まり、蘇長御を見る目は驚愕に満ちていた。

彼は蘇長御がこんな風に自分に話しかけるのを聞いたことがなかった。

これはどういう意味だ?

狂った、狂った、大師兄は本当に狂ってしまった。

許洛塵は苦々しく首を振りながら立ち去り、心の中で蘇長御は狂ったと繰り返し呟いていた。

蘇長御は特に気にすることもなく、直接後崖へと向かった。

後崖の下。

葉平は静かに遠くで座禅を組んでいた。

言わざるを得ないが、葉平は非常に勤勉で、その勤勉さは蘇長御を恥じ入らせるほどだった。

こんなにも恐ろしい才能を持ちながら、それでもこれほど勤勉なのだ。

一瞬、蘇長御は同世代の天才たちに同情を覚えた。

考えてみれば、一人の絶世の天才が、天賦の才能を持っているだけでなく、これほどまでに勤勉とは。

幸い自分は才能がないが、もし葉平のような人物に出会っていたら、本当に泣きたくなっただろう。

許洛塵の十倍は辛いだろう。

「小師弟」

思考を切り上げ、蘇長御は剣痕を悟ろうとしている葉平に呼びかけた。

「大師兄?来られたのですか?」

葉平は悟道から目覚め、あまりにも没頭していたため、蘇長御の到来に気付いていなかった。

「小師弟、これは宗主が特別にお前のために買った新しい服だ。埃を避け、蛇や虫、鼠などを防ぐことができる」

蘇長御は包みを葉平の前に置き、そう言った。

「ありがとうございます、大師兄」

葉平は包みを受け取ったが、今はこういったものにはあまり興味がなく、頭の中は剣技のことでいっぱいだった。

物を渡し終えた蘇長御は葉平を一瞥した。

彼には葉平が何か困惑しているように見えた。

しかし彼は何も言わなかった。

むしろ立ち上がり、一人で崖の上に向かった。

彼は墨のような夜空を見つめ、葉平には一つの背中だけを残した。絶世剣仙の背中を。

崖の下で。

葉平は蘇長御を見つめていた。

なぜか、ただ蘇長御を見ているだけで、葉平は何かを悟りかけているような気がした。しかし、まるで膜一枚があるかのように、なかなか突き破ることができなかった。

ついに。

葉平はもう我慢できなくなり、蘇長御を見つめ、勇気を振り絞って言った。

「大師兄!」

彼の声が上がるや否や、蘇長御はすぐに遮った。

「心を静めよ」

蘇長御の声は大きくなかったが、まるで魔力を持つかのように、葉平の心を落ち着かせた。

「小師弟よ、心の執着を手放し、天地の間の美を感じるのだ」

「お前が求めるすべての答えは、この天地の間にある」

「心が定まらなければ、どうやって道を悟ることができようか?」

蘇長御の穏やかな声が響いた。

この声は醍醐灌頂のように、葉平の耳に響き渡った。

そしてこの時、葉平の心は静まった。

彼はもう剣痕を見ることもなく。

剣技のことも考えなくなった。

ただ宝剣を抜き、そして基礎剣術の練習を始めた。

刺し!

突き上げ!

斬り!

切り下ろし!

突き!

月光の下。

葉平は基礎剣術を練習していた。

彼の頭の中は真っ白だった。

何も考えず、一挙手一投足がすべて自然に任せ、大道自然の感覚があった。

蘇長御は葉平を見ることなく、ずっと葉平に背を向けていた。

彼はすでに考えがまとまっていた。おそらく一刻後に、改めて葉平に道理を説くつもりだった。

今は葉平に悟らせることに専念させればよい。

しかし、崖の下で。

葉平の剣の速さはますます速く、ますます速くなっていった。

後崖の下。

すべての木の葉が巻き上げられた。

しかし恐ろしいことに、風の音は一切しなかった。

これらの葉は、まるで目に見えない力に支えられているかのようだった。

すべての葉が、葉平の剣の勢いに従って動いていた。

葉平の剣は、信じられないほど速かった。

しかし突然。

彼の剣は、遅くなった。

そう、遅くなったのだ。

この瞬間、葉平の頭の中には、ただ一つの言葉があった。

「心が定まらなければ、どうやって道を悟ることができようか?」

彼の剣は、ますます遅く、ますます遅くなっていった。

そしてこの時。

一陣の清風が吹き抜けた。

崖の上で、蘇長御は少し身を震わせ、寒さを感じた。

そして崖下の葉平は、その場に立ち尽くした。

葉平の頭の中に、基礎招式が浮かんだ。

しかしこれらの招式は頭の中で、絶え間なく推演され、千変万化していた。

基礎剣術を起点として、無限の剣技を演繹していく。

そして葉平の頭の中には、一枚の古図も現れた。

「無盡剣図」

これは基礎剣術を根本とする剣図で、永遠に剣技を推演することができる。

推演する剣技の数が多ければ多いほど、将来他の剣術を悟る時、直接悟ることができる。

言い換えれば、葉平は今後他の剣術を悟る必要がない。剣図の剣技数が十分であれば、直接悟ることができる。

例えば四雷劍法には、千四百四十の技がある。

もし無盡剣図の中で千四百四十の技を推演していれば、開篇を一つ知るだけで、直接剣勢を悟ることができ、大量の時間を節約できる。

これが無盡剣図の恐ろしいところだ。

しかし最も恐ろしいのはこれではない。

それは無盡剣図に付随する一つの剣術だ。

この剣術の名は.......

破剣の型。