青州古城。
剣道大会の会場。
数万の修士が葉平を呆然と見つめていた。
葉平の声が響き渡ると、この瞬間、魏林の視線さえも葉平に釘付けになった。
彼は葉平が度化金輪を凝集できるとは全く信じていなかった。
しかしその時、そよ風が吹き過ぎると、葉平の絶世の美しい顔に、悟りの笑みが浮かんだ。
次の瞬間、葉平は目を開いた。
そしてその時、度化金光が消えた。
青州古城全体が永遠の闇に包まれたかのようだった。
「はっはっはっは!これが悟りだと?何か悟ったのかと思ったら、ただの見せかけか、はっはっはっは!」
「お前が度化金輪を凝集できたら、この魏林が青州の全員の糞を食い尽くしてやる、はっはっはっは!」
魏林の嘲笑が響き渡った。
その声は傲慢さに満ちていた。
しかしその時。
葉平が瞳を開き、次の瞬間声が響いた。
「昔、始青天の中において、碧落空歌、大浮黎土。元始度人を受け、無量上品、元始天尊、当に是の経を説くべし。周回十過、以て十方を召し、始めて当に座に詣るべし。」
古の音が響き渡る。
葉平が口を開くと、先ほどの風に乗って、ある度人経文を思い出した。
道教の無上の宝典、度人経。
この経文は、葉平が偶然に見かけたもので、葉平が苦心して解を求めていた時に、ちょうどこの経文を思い出したのだ。
かつて葉平はこの経文の奥義を理解できなかったが、今や葉平はその一部を理解した。
彼はこの経文を詠唱した。
最初の一文字を詠唱した時。
一筋の金光が、まるで九天の上から照り輝くかのように降り注いだ。
眩い金色の光が、青州古城全体を照らし出した。
古の音が雷のように、古城の内外に響き渡り、五怨古毒気も共に消え去り、全ての迷いや殺戮の中にいた修士たちも、攻撃の手を止めた。
彼らの眼差しが清らかになった。
百万の怨魂も嘆き声を上げなくなり、代わりに沈黙が訪れた。
「地面を見てください!」
誰かが叫んだ。
全ての修士が思わず地面を見た。
葉平を中心に、周囲に突然一輪また一輪と金蓮が現れた。
「これは地涌金蓮だ!」
「それに、天空を見てください、花びらが降ってきているではありませんか。」
「ふむ、天花乱舞の景象、成功した、成功したぞ、葉先輩は本当に悟りを開いた。」
「天花乱舞、地涌金蓮、まさか貧道の生きている間に、このような景象を見られるとは、貧道は死んでも悔いはない。」
「葉先輩は悟った、葉先輩は本当に悟りを開いた。」
「はっはっは、葉先輩万歳!」
「葉先輩万歳。」
大会場で、数万の修士が抑えきれないほど興奮していた。葉平が本当に悟りを開いたとは思いもよらなかったのだ。
「皆さん、葉先輩の頭上に何が現れたか見てください!」
そしてこの時、誰かが葉平の頭上に金色の光が現れたことに気付いた。
「金輪だ!金輪だ!智慧金輪、なんということだ、彼は本当に度化金輪を凝集させた。」
「無量天尊、葉平こそ青州第一なり。」
「古より英雄は若きより出づと言うが、古人の言葉は真なり!」
多くの年配の修士たちが口々に言い、彼らはこの全てに衝撃を受けていた。
青州城主も苦笑いしながら言った:「これこそが新しい波だ。青州からこのような天才が現れたことで、どれほど多くの天才たちが打撃を受けることか。」
彼は苦笑いを浮かべた。葉平の資質は、あまりにも常軌を逸していた。これが広まれば、今後青州の修士たちはどう生きていけばいいのだろうか?
この瞬間。
葉平の頭上に眩い金輪が浮かび上がった。これが度化金輪であり、智慧と悟りの無上の境地を表すものだった。
金輪が現れると、魏林は薄い紙が大火に遭ったかのように、その場で凄まじい悲鳴を上げた。
「ありえない!ありえない!どうして本当に度化金輪を凝集できるのだ。」
「これはありえない、これはありえない、これは天が我を滅ぼそうとしているのか?これは天が我を滅ぼそうとしているのか?」
魏林は死んでも、葉平が本当に度化金輪を凝集できるとは信じられなかった。
しかし問題は、葉平が凝集させたのだ。しかも凝集させただけでなく、これは普通の度化金輪ではなかった。
これこそが太上度化金輪である。
それだけではなく、まさにその時、葉平の背後に突然一本の古樹が現れた。古樹は翠緑色で、万の枝を持ち、一筋また一筋と碧緑色の光が垂れ下がり、葉平を大智慧者のように照らし出していた。
「菩提古樹!」
「これは異象、菩提古樹だ。」
「奇異なる異象、奇異なる異象よ。」
人々は驚嘆した。
戦場では、司空剣天も驚いていた。
彼は驚くだけでなく、少し妬ましさも感じていた。
「菩提古樹、度化金輪、青州からどうしてこんな化け物が現れたのだ。この青州第一、晉國第一の天才の称号が数百年は保てると思っていたが、どうやらすぐにこの小僧に奪われそうだな。」
司空剣天は少し気分が悪くなった。
彼は葉平が度化金輪を凝集できることを願っていたが、同時にそのような異象を凝集してほしくもなかった。
なぜなら、葉平がそのような異象を凝集すれば、二人の差は大きく開いてしまうからだ。
「度」
菩提古樹の下で。
葉平はゆっくりと口を開いた。何の手段も使わず、ただ「度」という一文字を言っただけだった。
その瞬間、無数の怨魂が直接超度され、輪廻へと向かった。
百万の怨魂も、一瞬のうちに完全に消え去った。
魏林の怨魂も、この時、言い表せないほどの苦痛を味わっていた。生前の罪が余りにも多く、今、度化金輪の下で、もがくことすらできず、かつての所業の代価を払わねばならなかった。
そしてこの時、五怨の翡翠古葫はもはやもがくことができず、揺れながら葉平の手に落ちた。
これは古寶だった。
しかし怨念が宿ったため、霊性を失い、邪器と化していた。
今、葉平が中の怨念を度化し清めると、翡翠古葫は本来の姿を現した。
先天翡翠霊葫だった。
この寶物を、葉平は当然のように自分のものとした。
こうして、全ての問題が解決した。
青州古城も、完全に静けさを取り戻した。
葉平の異象は徐々に消えていった。
静寂。
静寂。
前代未聞の静寂。
皆が呆然とこの一部始終を見つめていた。
なぜなら、これら全てが特別に非現実的に感じられたからだ。
一瞬前まで、皆が必死にもがき、死を覚悟していたというのに。
しかし今、全ての問題が解決していた。
この急激な展開に、非常に非現実的な感覚を覚えた。
あまりにも速かったからだ。
葉平が魏林を降伏させる速さがあまりにも速く、何の派手な過程も必要とせず、たった一文字で、このような恐ろしい魔頭を降伏させたのだ。
修為の低い修士たちにとって、これら全ては現実味がなかったが、陳正たちにとっては、度化金輪がいかに恐ろしいものかよく分かっていた。
魏林が弱すぎたのではなく、葉平が強すぎたのだ。
度化の法は、修為ではなく、別の道だった。度化金光を持つことは金丹修士に相当し、度化金輪を持つことは元嬰境程度では済まない。
しかし具体的にどれほど強いのか、彼らにも分からなかった。なぜなら、それぞれの度化金輪は異なり、その威力も当然異なるからだ。
そしてこの時、突然、皆が我に返ると、数万の声が同時に響き渡った。
「私たちは、大師の出手に感謝いたします。民を救い、晉國の民を救って下さいました」
陳正たちの声が次々と上がった。
彼らは葉平に向かって、深々と一礼し、非常に恭しい様子を見せた。
そしてこの時、司空剣天も葉平を見つめた。
彼は感謝の言葉を述べなかったが、その眼差しには笑みが満ちていた。
皆の感情を感じ取り、葉平は多くを語らなかった。
葉平にとって、今回の青州への帰還は、剣意を立てるためであり、大先輩に自分の剣道の心を理解してもらいたかったからだ。
この危機を解決したのは、主に自分のためであり、次いで天下の民のためだった。
だから葉平は、自分が特別に高尚だとか、慈悲深いとは思っていなかった。もちろん、功德を得て、ついでに民衆を救うことができたのは、葉平にとっても嬉しいことだった。
しかし事が解決した今、葉平はここにこれ以上留まりたくなかった。
大先輩が必ず暗闇の中から自分を観察しているはずだと信じていた。大先輩は絶世剣仙であり、このような時に姿を現すはずがなかった。
そこで葉平は立ち上がり、お辞儀を返した。
しばらくして、葉平はゆっくりと口を開いた。
「事は済みましたので、葉某は宗門に戻ることにいたします。この度の下山から数ヶ月、宗門の先輩方が心配していることでしょう」
葉平は話し、事は既に解決したので、直接戻ることにし、これ以上留まるつもりはなかった。
もう二ヶ月近く外に出て、東奔西走しても何も学べなかったことは言うまでもない。
宗門にいた方が、学べることもあり、気楽だった。
「葉平道友、もうお帰りになるのですか?青州古城でゆっくり休まれては如何でしょうか?」
陳正は急いで口を開いた。彼はもう葉平を後輩とは呼ばず、同輩として呼んでいた。結局のところ、葉平の行いは、道友の二文字に値するものだった。
今、葉平が去ろうとするのを聞き、陳正も葉平を引き止めようとした。結局のところ、葉平はこれほど大きな助けを与えてくれたのだから、祝宴を開いて祝うべきではないか?
「そうですよ、葉先輩、もう少し滞在されては?」
「葉先輩、あなたの宗門はどちらにございますか?私たちも機会があれば必ずお伺いさせていただきます」
皆も次々と口を開き、葉平に留まってもらい、みんなで祝いたいと願った。
「いいえ、今の青州城は百廃待興の状態です。もし留まれば、かえって復興の妨げとなるでしょう」
「宗門については、皆様にはご迷惑をおかけしないようお願いします。私の師は静かを好む性分で、人に邪魔されるのを好みません。皆様にはご理解いただきたく。もし後日また会うことがあれば、酒を酌み交わすこともできましょうが、宗門に来て感謝するというようなことは...やめていただきたい」
宗門に来て感謝したいという人がいると聞いて、葉平は急いで口を開いた。
葉平が人々が入門を願うことを恐れているわけではなく、主に宗門の中の者たちが皆大物で、性格も比較的風変わりだったからだ。
隱世門派が求めるのは静けさであり、もし三日に一度は静けさを乱す者が現れるようなら、自分はこの生涯、正式な弟子になることもできないだろう。
果たして、葉平のこの言葉に、皆はすぐに得心がいった。彼らは大体葉平の宗門が、あの隱世門派の一つだろうと推測し、だから密かに自分に言い聞かせた。決して邪魔をしてはいけない、あの隱世の高人たちの怒りを買うことは避けねばならない。
そしてこの時、司空剣天の声が突然響いた。
「葉平、話があるから、もっと静かな場所に来てくれ」
その声に、多くの人が興味を示した。
そして遠くにいた陳正は、司空剣天のこの声を聞いて、何かを悟ったようだった。