【燭龍の古印】
これは第三十六の燭龍仙穴を開通した後に得られた天授神通である。
この神通は、燭龍の力を凝集し、燭龍の古印を放って敵を討伐することも、燭龍の力を己の身に宿して実力を高めることもできる。
ただし、己の身に宿すには大量の法力を消耗する。幸いなことに、葉平は今や何が不足していても、法力だけは豊富にある。
今や、三十六の燭龍仙穴が全て開かれ、天授神通を得ただけでなく、仙穴の効果も大幅に増強された。
三十六の燭龍仙穴が開通すると、修練速度は単純な三十六倍ではない。
葉平が感得したところ、三十六の燭龍仙穴は今や一刻で吸収する靈氣が、三十六の功德に相当する。
言い換えれば、何もしなくても、一日十二刻で、四百三十二の功德の力に相当する。
これは何もしない場合の話で、積極的に座禅修練すれば、さらに倍増する。
つまり、一日座禅修練すれば、八百の功德の力に相当する。
百万の怨魂を度化して得られる功德の力に比べれば、それほど多くないように感じるかもしれないが、百万の怨魂を度化できる好機会は毎日あるわけではない。
しかし一日八百の功德は、日々積み重なれば、十日で八千、百日で八万、一年で三十万以上の功德の力となる。
これはまだ三十六の燭龍穴竅を開通しただけの話だ。三千を開通したらどうなるのか?
想像もつかない。
すぐに、葉平は体内の功德の力を確認した。
最後の一部が残っている。
この部分も葉平は取っておくつもりはない。
全て神魔體の淬練に使うつもりだ。
今や境界も上がり、燭龍仙穴も三十六個目まで開通した。残るは体質だけだ。
今回の山降りで、葉平は深い悟りを得た。御剣術は使えなくても、肉身の力だけでも相当な速さを出せることを実感したのだ。
そして肉身を鍛えることには多くの利点がある。常に攻撃するばかりで、自分が攻撃を受けないわけにはいかないだろう?
青州風雲録にも記されているように、この世界には無霊地帯という場所があり、そこには靈氣がなく、修士の体内の靈氣も封じられてしまう。そうなると法力が全く使えなくなってしまう。
だから多くの天才は肉身の淬練を選ぶのだ。もちろん、一般的に肉身を淬練するのは天才たちだけだ。
大多数の修士は真面目に修練するだけで、せいぜい体を鍛える程度だ。肉身の淬練に割く余分な時間がないからだ。
しかし葉平は時間があるだけでなく、無上錬體法も持っているので、当然無駄にはしない。
どのみち、多く学んでも損はない。
そこで、葉平は太古神魔體の淬練を始めた。
葉平は両目を閉じ、神魔法相を観想した。
そして残りの功德、最初の四分の一に相当する分が、猛烈な勢いで靈氣に変換され始めた。
三十六の燭龍仙穴の加速効果により、練化の速度は極めて速く、また築基境に達したことで、葉平の体内が収容できる靈氣も増えた。
そのため、大量の時間を要しない。
轟!
轟!
雷鳴のような鍛冶の音が響き渡る。
しかしこの天地の鍛錬の音は、葉平一人にしか聞こえない。修練者だけが聞くことができるのだ。
天の力を神鎚と化し、肉身を打ち、雑質を排除し、完璧を目指す。
地の力を神爐と化し、肉身を煉り、気血は炉となり、肉身は龍の如し。
これぞ天鎚地錬。
境界の上昇と燭龍仙穴の効果により。
葉平の淬練の速度はますます速くなっていった。
三日三晩の時を経て。
葉平の背後に真紅の炉が凝集し、低い龍吟が響き渡った。
これは気血が炉となり、肉身が龍となった象徴である。
葉平は十八回の淬體を完了した。
小神魔體も徹底的に淬練され、円満に至った。
この時の彼は、恐ろしいほどの気血が旺盛で、一般の邪修の目には、葉平は太陽のように眩しく映り、肉身は蛮龍のように強靭で恐ろしかった。
しかし小神魔體の円満は、体内の功德の力が完全に消耗し尽くされたことも意味していた。
さらにこの期間中、翡翠の古葫が凝集した先天霊気も、すっかり消耗し尽くされていた。
小神魔體円満。
この瞬間、葉平は瞳を開いた。
築基境に達した時とは異なり、肉身が強くなったことで、実質的な充実感があり、肉身は極めて堅固になり、体内の力も質的な変化を遂げていた。
しかし具体的にどれほど強くなったのか、葉平にはよく分からず、誰かと試し合いをする必要があった。
「大師兄がここにいてくれたらなあ。」
一瞬、葉平は大師兄が恋しくなった。
すぐに、葉平は傍らの翡翠の古葫に目を向けた。何故か葉平は、この古葫で自分を一度打ってみたいと思った。肉身がどれほど強くなったのか確かめたかったのだ。
しかし少し考えた後、葉平は思いとどまった。これは古器なのだから、もし自分の力を過大評価していたら、命取りになりかねない。
葉平が深く考え込んでいる時。
青雲居にて。
王卓禹は衣服を整え、鏡の前で微笑みを浮かべ、笑顔の練習をしていた。
数日後、彼は陣法師の最終審査を受けることになっていた。
王卓禹は最終審査を受ける前に、葉平に陣道を教えようと考えていた。
なぜなら、最終審査を終えて正式な陣法師になってしまえば、葉平に陣法を教える時間がなくなるだろうから。
一人前の陣法師は、運が良ければ毎日忙しく、人々のために陣法を布置しに行き、時には臨時の依頼もある。そのため王卓禹は審査を受ける前に葉平を教えようと考えていた。
葉平がどれだけ理解できるかは、葉平自身の資質次第だ。
ドンドン!
王卓禹が笑顔の練習をしている時、突然、ドアを叩く音が響いた。
「誰だ?」
王卓禹は部屋の扉を開けた。
すぐに見覚えのある人物が目に入った。
二番目の師兄、許洛塵だ。
「洛塵師兄、どうしてここに?」
王卓禹は少し驚いた。二師兄が自分を訪ねてくるとは思わなかった。
扉の外で。
許洛塵の雰囲気は、以前とは全く違っていた。
以前の許洛塵は、いつも優しい笑みを浮かべ、毎日楽しそうに見えた。
しかし今の許洛塵は、眉を垂れ、目は生気を失い、何か致命的な打撃を受けたかのように、非常に憂鬱そうだった。
王卓禹は非常に気になった。
一体何があったのか、こんなに楽観的だった二師兄がこれほど意気消沈するなんて、理解できなかった。
「少し話す時間があるか?」
許洛塵の声が響いた。その口調は寂しげで沈んでおり、なぜか哀れみを誘うものだった。
「どうぞお入りください」
王卓禹は急いで許洛塵を部屋に招き入れた。
そして扉を閉めた。
「洛塵師兄、一体どうされたんですか?最近、まるで別人のようになってしまって」
王卓禹は許洛塵にお茶を注ぎながら、好奇心に満ちた表情を浮かべた。
しかし許洛塵はお茶に手を付けず、王卓禹の方を見て言った。「卓愚、お前は小師弟に陣法術を教えに行くつもりなのか?」
許洛塵は直接尋ねた。
「はい、そうですが、何か?」
王卓禹は不思議に思った。師兄が師弟を指導するのは当然のことではないのか?
「卓愚、行かない方がいい」
許洛塵はゆっくりと口を開き、王卓禹に死に行くなと諭した。
しかしこの言葉を聞いて、王卓禹は少し納得がいかない様子だった。
「洛塵師兄、小師弟の資質が良くないのは分かっています。でも、資質が劣っているからといって見捨てるわけにはいきませんよ」
「洛塵師兄、正直に言って、私たちの資質が本当に良いのでしょうか?あまり良い言い方ではありませんが、大師兄を例に挙げると、彼の資質は良いのでしょうか?でも宗主は私たちを見捨てましたか?」
「洛塵師兄、師弟が説教するようで申し訳ありませんが、師兄として、私たちは広い心を持たなければなりません」
王卓禹は真剣な面持ちで語り、非常に高潔な態度を示した。
しかし許洛塵は淡々と王卓禹を一瞥し、王卓禹の言葉が終わるのを待って、ようやく口を開いた。
「では、もし小師弟が天才だったとしたら?」
許洛塵はゆっくりと言った。
この言葉を聞いて、王卓禹は思わず固まった。
は?
今なんて?
天才?
王卓禹は呆然とした。
許洛塵の言葉の意味が理解できなかった。
しかし少しして、王卓禹は軽く咳払いをし、再び口を開いた。
「天才なら更に良いじゃないですか。天才の啓蒙教師になれば、それこそ面目が立ちます」
王卓禹は明らかに許洛塵の言葉の真意を理解していなかった。
「では、もしそれが、どんなことでも一日であなたの十数年の努力を超えてしまうような天才だったら?」
許洛塵は続けて言った。
「それなら尚更良いではありませんか!絶世の天才を直接指導できるなんて、私の光栄です。洛塵師兄、宗主の仰る通り、あなたは少しの打撃も受け入れられないんですね」
「天才でも良い、絶世の天才ならもっと良い。私たちのような者が、絶世の天才を指導できるなんて、私に聞きますが、私たちが損をすることがありますか?」
「一夜にして私たちの十数年の努力を超えるなんて、これは良いことではありませんか?」
「お聞きしますが、洛塵師兄、この世に小師弟以外に天才はいないとでも?」
「考えてみてください。もしこのような天才が他人の弟子だったら、それを見たとき、もっと腹が立つのではありませんか?」
「でもこのような天才が私たちの宗門の者なら、何を怒ることがありますか?一人が道を得れば鶏犬も天に昇るというように、小師弟が本当に絶世の天才なら、私たちも恩恵を受けられます」
「まさか小師弟を妬んでいるんですか?」
王卓禹は葉平が絶世の天才だとは全く信じていなかった。
ただ、許洛塵が自分ができないからといって、他人まで引きずり下ろそうとしているのだと思った。
もし葉平が絶世の天才なら、なぜ大師兄は剣道を教えた後も毎日楽しそうにしているのか?
お前だけがこんなに憂鬱なのは?
結局のところ、心が狭くて、他人の成功を見られないだけではないのか?
これが王卓禹の考えだった。
「もう良いでしょう、洛塵師兄。刻も遅くなりました。私は小師弟のところへ行かねばなりません。ゆっくり考えてください」
この言葉を残し、王卓禹は立ち上がって去った。
部屋の中で。
許洛塵も呆然としていた。
しばらくして。
許洛塵は思わず太ももを叩き、つぶやいた。
「そうだ、小師弟が絶世の天才なのは良いことじゃないか。なぜ毎日憂鬱になっていたんだ?」
「へへっ!悟ったぞ!」