雲芝が去った後、陸陽と孟景舟は他の弟子たちと同様に自分の洞府を見に行った。
しかしその前に、陸陽は孟景舟について問道宗の外に行き、馬さんを連れてきた。
問道宗の外では、陸陽は新しく加入した同門たちが家族に喜びを報告している様子を目にした。小さな家族であれ、修行世家であれ、自分の家族が問道宗に入門できたことは、族の歴史に記されるべき大事なことだった。
「お前の家族は来ないのか?」陸陽は孟景舟の話から、孟家が歴史ある修仙世家だと知っていた。
孟景舟は少し誇らしげに言った。「私は家出したんだ!」
陸陽:「……」
何が誇らしいんだ?
孟景舟が馬さんを洞府に連れて帰った後、陸陽も自分の洞府に戻った。
陸陽は玉の飾りを取り出した。これは先ほど知らない師兄からもらったもので、問道宗の弟子の身分札だという。外部に対しては問道宗の弟子であることを証明し、内部では洞府を開くなどの用途があるとのことだった。
玉の飾りは霊石精で磨かれており、「陸陽」の二文字が刻まれていた。玉の飾りの多くの機能は、陸陽が正式に修仙者になってから使用できるものだった。
陸陽が玉の飾りを洞府の入り口の石壁に置くと、玉の飾りから青い光が漏れ、洞府入口の凹みと呼応し合った。凹みが二度光り、石壁が自動的に開き、陸陽の目の前に想像を超える豪華な洞府が現れた。
洞府に一歩足を踏み入れた途端、陸陽は体が温かくなるのを感じた。まるで不思議なエネルギーが体を潤しているかのようだった。
「これが彼らが言っていた霊気なのか?」
陸陽は気づいた後、非常に驚いた。洞府内の霊気の濃度は、彼のような凡人でも感じられるほど高く、いかに異常なものかが想像できた。
洞府の設えはとてもシンプルで、机が一つ、蒲団が一つ、草むしろが一つだけで、広大な洞府と比べるとがらんとしていた。これが問道宗の弟子に清廉寡欲を説くためなのか、それとも弟子の好みに応じて装飾させるためなのかは分からなかった。
机の上に一枚の紙が置かれており、表裏両面に文字があった。
表面には、修仙について何も知らない弟子は先に言傳峰に行って基本知識を学ぶか、蔵経閣で自習するようにと書かれていた。
裏面は問道宗の地図で、かなり簡略なもので、問道宗の主要な山々が描かれ、大きな空白が残されていた。地図によると、問道宗は十万里の土地を占めており、陸陽の想像を超えるほど広大だった。
表面の内容は、これから一ヶ月何をすればいいか分からなかった陸陽に方向性を与えてくれた。
陸陽は欠伸をして、ゆっくり休もうと思った。
外出時の雨に遭遇してから、誠実な品格と優れた知恵で三つの関門を突破し、大師姉の雲芝と二番目の師兄の戴不凡の注目を集め、最後に問道宗の弟子となるまで、この一日の出来事で精神的に疲れ果て、目も開けていられないほど眠かった。
「問道宗は枕一つくれないのか……」
陸陽はぶつぶつ言いながら、一日の疲れがこの瞬間に押し寄せてきて、快適かどうかも気にせず、口をもぐもぐさせながらすぐに夢の中へと入っていった。
……
翌朝早く、陸陽は早起きした。まずは蔵経閣に行って、中央大陸の大まかな状況を理解しようと思った。
「新入りか?」蔵経閣の入り口で、ある師兄が目を上げて陸陽を見た。
「はい」
「新入りなら、蔵経閣のルールを説明しておこう。ルールは簡単で、三つだけだ」
「一つ、今のお前の権限では一階でしか本を読めない。一階の本は自由に読んでいい。二つ、今は一冊しか借りられない。三つ、本を大切にし、汚さないこと。汚したら原価で弁償だ」
「覚えました」陸陽が頷くと、師兄は何も言わず、陸陽を中に通した。
蔵経閣の中では、問道宗の弟子たちが専心して本を読んでおり、心を無にして、陸陽が傍を通っても気づかないほどだった。
広大な蔵経閣には、わずかな足音と本をめくる音だけが響いていた。
ここには様々な本が並んでおり、民間芸人の漫才入門から、修士の功法秘傳書、さらには練気築基の心得まで、ありとあらゆる本があった。
陸陽は目が回るほどで、どの本を読むべきか分からなかった。
「これは何の本だ?」
陸陽は偶然、本棚の隙間から一冊の本を見つけた。厚い埃をかぶっており、ここに落ちてから誰も読んでいないようだった。
埃を払うと、やっと本の名前が見えた——『龍鳳変』
「なんて威厳のある名前だ!」
陸陽は小声で驚嘆した。内容を見なくても、タイトルだけで王者の気配を感じることができた!
彼はぼんやりとして、龍と鳳の鳴き声が聞こえたような気がした。目の前に龍と鳳の幻影が現れ、生き生きとしており、その後幻影が変化して、まるで龍と鳳が現れる過程を演じているかのようだった。
陸陽が我に返ると、周りを見回したが、音も幻影も消えていた。
「さっきの は幻覚か?」
陸陽は疑わしく思いながらも、やや興奮して最初のページを開いた。
これが自分の機縁かもしれない!
しかし、ページが鋭すぎて、うっかり指を切ってしまい、数滴の血が紙面に落ちた。
突然の異変!
この古い本から金色の光が放たれ、本の中から何かが封印を破って出てくるかのようだった!
陸陽の心臓はドキドキと激しく鼓動し、この過程は完全に予想外で、彼のコントロールが効かず、吉か凶か分からなかった。
彼は何か強大な存在に見つめられているような感覚さえ覚え、思わず身動きができなくなった!
その感覚はますます明確になり、その強大な存在が自分に近づいてきていることを示していた。
ついにその強大な存在は陸陽の背後に立ち、静かに彼を見つめ、一言も発せず、陸陽は冷や汗を流した。
「お前……」ついに、その強大な存在が口を開いた。
「はい!」陸陽はビクッと震えた。
「本を汚したな」
強大な存在は眉をひそめ、陸陽が振り返ると、蔵経閣の入り口にいた師兄だった。
師兄は本の上の血痕を見て、少し不機嫌そうだった。本を汚すなと注意したばかりなのに、この小僧は本に血を垂らした。
蔵経閣には陣法があり、本を汚すと金色の光を放ち、蔵経閣の管理人に信号を送るのだった。
「これは何の本だ?今まで見たことがないが」
師兄は疑わしげに本を取って少し読み、顔色を変えた。「これは……これはあの伝説の禁書じゃないか!」
陸陽は心の中で喜んだ。まさか自分がこんなに運が良く、蔵経閣に来て早々上古禁書を見つけるとは。ただ、この本にどんな秘密が隠されているのかは分からなかった。
「師兄、この本には何か問題があるのですか?」陸陽は好奇心を抑えきれなかった。
師兄は表情を変え、このような秘密を新入りの師弟に話すべきか少し考えた後、正直に話すことにした。
「この本には龍と鳳の交尾の過程が詳細に記録されている。あまりにも詳しく書かれすぎていたため、竜の国と鳳凰の国から共同で抗議され、禁書に指定された。この本はすべて廃棄されたと思っていたが、まさかここにまだ一冊残っているとは。誰が隠したんだろう!」
つまり、これはエロ本だった。
陸陽:「……」
くそっ、龍と鳳の鳴き声なんかじゃなかった!
彼は突然思い出した。師兄は本を汚したら弁償しなければならないと言っていた。