氣力修練とは違い、氣力修練は靈獸肉を食べて力を増やし、藥湯に浸かって体を強くすることができるが、制御力の修練は自分自身に頼るしかない。
この過程は高度な集中力を必要とし、少しの油断も許されない。大師姉の言葉を借りれば、「感覚を掴み、靈臺ではなく、体で力を制御する」ということだ。
陸陽がすべきことは、意識せずに自然に豆腐を掴むことだった。
一日が終わり、陸陽は体中が豆腐の匂いで、目は豆腐に長時間集中していたため、寄り目になりかけていた。
幸い傀儡は経験豊富で、陸陽の頬を二回叩いたら、目は正常に戻った。
食事の時間になり、陸陽はテーブルいっぱいの豆腐料理を前に黙り込んでしまった。
炒め豆腐、揚げ豆腐、蒸し豆腐、豆腐スープ、豆乳煮込み豆腐……
原材料は全て陸陽が昼間に潰してしまった豆腐で、豆腐スープと豆乳は親切な店主が寄付してくれたと聞いた。
陸陽は店主の先祖八代に感謝した。
陸陽は分かっていた。力の制御ができるようになるまで、他の料理に変えることはできないということを。
言い換えれば、彼か豆腐のどちらかが降参するまでということだ。
豆腐も決して凡品ではなく、長期摂取することで修士の五行バランスを整え、気息を綿々と長くし、戦闘時の持久力を高めるなど、利点は数え切れないほどある。
しかし、毎日豆腐を食べ続けるのは誰にも耐えられないことだ。
陸陽は仕方なく、うつむいて食事をし、明日はどうやってより上手く力を制御できるかを考えていた。
……
熟睡していた陸陽は、まぶしい白い光が顔に当たり、上下のまぶたがぴったりと張り付き、表情が歪んでいた。ゆっくりと強い光に慣れてから、やっと目を開けようとした。
そこは真っ白な空間で、周りは濃い霧に包まれ、陸陽の周りのわずかな範囲だけが見えていた。光源は見つからなかった。
「ここはどこだ?」陸陽は少し慌てた。高手が数え切れないほどいる問道宗で眠っていたはずで、大師姉も隣にいたのに、誰が音もなく彼をこの神秘的な空間に連れてきたのだろう?
相手は善意なのか悪意なのか?
霧の中から荘厳な声が響いてきた。その声は遥か遠くから、まるで遠古から語りかけるように、時の流れの中に響き渡った。
「若者よ、ここは本座が一時的に作り出した空間じゃ。誰にも気付かれることはない。」
陸陽は心が引き締まった。相手の手段は想像を超えており、相手に悪意がないことを願うしかなかった。
「本座は万古の歳月を見てきた。無数の大能者が修為で天下を制したが、最後には皆、歳月の侵食から逃れられず、天に挑み地を争った熱血も、臨終の一声のため息となって消えていったのを見てきた。」
「どれほどの風華絶代の者でも、本座は逍遥自在、永遠に存在し続ける。」相手の声は蒼古で嗄れており、かすかに万古の虚しさが漂っていた。
この偉大な存在は陸陽の想像を超えていた。
「今日、本座は思い立って占いをしてみたところ、お主と本座には縁があると分かった。そこでお主の魂魄をこの一時的な伝承空間に招いたのじゃ。」
「この空間には練気期から渡劫期までに必要な功法、丹藥、秘傳書、修行の心得……全てが揃っている。各段階に達すると、本座の伝承の一部が開放されるのじゃ。」
陸陽は安堵の息をつき、拱手して丁寧に尋ねた。「先輩はどなた様でしょうか?」
先輩は三度笑い声を上げ、霧の中から歩み出てきた。
先輩の顔は白く清らかで、肌は白皙で、頭は四角い——豆腐だった。
豆腐先輩はどんどん近づき、話す速度も速くなっていった。「我こそは豆腐天尊なり。これぞ本座の一生の学びじゃ。お主が食べる豆腐が多ければ多いほど、修為の上達も早くなり、基礎も堅固になる。越級挑戦も、左右に美女を侍らせることも、大陸の頂点に立つことも問題ない……」
陸陽は冷や汗を流しながら、急に目を覚まし、ベッドから起き上がった。周りを見回すと真っ暗で、死のように静かだった。やっと安堵の息をついた。
「夢か。夢で良かった。」
陸陽は背中に流れる冷や汗を感じ、まだ動揺が収まらなかった。
……
雲芝はゆっくりと目を開け、指先から伸びていた青い光線が陸陽の部屋から引き戻された。
「これで、彼はもっと真面目に修練に励むはずだわ。」雲芝は独り言を呟いた。
師が彼女を教える時によく言っていた。適度なプレッシャーは原動力に変わり、人を奮起させることができると。
雲芝自身がその成功例だったので、師の言葉は正しいと思い、入夢術を使って陸陽に小さなプレッシャーを与えたのだった。
「八長老が提供してくれたセリフは少し恥ずかしいわね。普段どうやってあんな台詞を言えるのかしら。」
雲芝は人に教えを請うのが得意で、夢の中の全ての手順とセリフは八長老が書いたものだった。八長老は必ず効果があると保証していた。
……
しばらくして、雲芝は陸陽が苦もなく豆腐を掴み、高く投げ上げて安定して受け止められるようになり、豆腐をお手玉のように傀儡と投げ合うこともできるようになったのを見た。
柔らかい豆腐は彼の体の一部のように、自在に操ることができた。
「軽きを重しとなす、あなたはそれを成し遂げた。この段階は終了よ。」
陸陽は微笑んだ。彼はもう以前の彼ではない。豆腐を掴む練習を重ねるうちに、落ち着きのない心も次第に落ち着いていった。
心法口訣も必要なく、自然とそうなっていた。
「次は何を練習するんですか?」
陸陽はもう同門と同じ進度を追い求めることはなくなっていた。大師姉がこのように自分を指導するには、必ず意図があると信じていた。
雲芝は珍しく微笑みを浮かべた。「あなたの練気期の修為を固めることよ。」
陸陽は驚いて、自分を指さした。「練気期?私が?」
自分がいつ練気期になったのか分からなかった。本には氣を體に取り込むには先輩の指導を受け、功法を伝授され、五感を閉ざし、經脈を整えてはじめて成功すると書いてあったはずだ。
才能が劣る者は、丹藥の助けも必要だった。
彼はどの条件も満たしていなかった。
大師姉は氣を體に取り込む方法を教えてくれたことはなく、驚くべき修仙の功法も伝授されていない。五感を閉ざしたこともなく、どこにあるのか分からない第六感を使うこともなく、經脈に関しても整えた記憶はない。
問道宗の弟子は丹藥を使って氣を體に取り込む必要はない。彼らは皆、千里の一を選ばれた天才たちだ。もし丹藥の助けがあってはじめて練気期に入れるのなら、問道宗を自ら退門した方がましだ。
陸陽は自分も丹藥を使う必要はないと信じていたが、問題は自分がどうやって練気期になったのかということだった。
「三日前の朝よ。」大師姉が示唆した。
陸陽は突然、三日前の朝のことを思い出した。
その日、彼は早起きして、朝日に向かって目を閉じ、どうすれば豆腐を掴めるのかを考えていた。
考えが深まるにつれ、周りの物事への感覚が徐々に失われ、まるで上昇する清氣となって天地の間を漂うようだった。その後、意識が沈み、体に戻ると、全てが明らかになり、丹田に暖かい気が流れているような感覚があった。
そしてちょうどその時、彼は豆腐を掴むことに成功した。
豆腐を掴む練習をしている時、大師姉はその場にいなかったはずだが、実は大師姉は彼の知らないところで観察していたのだった。
「あの感覚が氣を體に取り込むということだったんですね。」陸陽は独り言を呟き、その感覚に浸った。
あの感覚は本当に素晴らしかった。まるで雲の上にいるような、暖かさに包まれ、目を開けたくないほど心地よかった。
気付かないうちに、自分は小さな願いを叶え、氣を體に取り込み、練気期の修士となっていた。