下方の小山村を見た冥天北は、突然驚いた。
「広大な蒼離山脈は全て破壊されているのに、なぜこの小山村だけが無事なのだ?」
「しかも、遠くから見ただけでも、何か神秘的な雰囲気を感じる!」
彼は心の中で思案し、躊躇していた。
「降りて、村に隠れましょう」
背中で、少女が口を開いた。「追手が近づいています!」
後ろの追手のことを考え、冥天北は歯を食いしばって言った。「よし!」
彼は急いで小山村へと降りていった!
……
その時。
蒼離山脈の外周で、麻布の服を着た二人の中年男が、徐々に近づいていた。
「調査した情報によると、あの所謂南域の高人は、前方の小山村に隠れ住んでいるらしい!」
王川は表情を引き締めて言った。「軽率に近づくわけにはいかない。もし本当に魔修が潜んでいるなら、私たちは危険な目に遭うかもしれない……」
この二人こそ、玄天界の玄黃霧海から南域にやってきた二人の真仙だった!
——太衍聖地での戦い以来、南域の高人が蒼離山脈の外周に隠れ住んでいるという情報が、玄天界の上層部で広まっていた。彼らは南域に到着後、すぐにその情報を突き止めた。
先頭の於沈冰は冷たい目つきで言った。「とにかく近づいて確認する必要がある!」
「ここに隠れているのが本当にあの魔修なら、すべてが明らかになる!」
二人はゆっくりと近づいていった。
「ん?あれは何だ?!」
突然、王川が驚いて声を上げた。
二人は立ち止まった。
於沈冰が目を上げると、前方の小山村の上空に黒い気が渦巻き、魔気が溢れていた!
遠く離れていても、その恐ろしい魔威を感じることができ、魂さえも震えるほどだった!
「いや……本当に、本当に魔族なのか?!」
王川は震撼した。
「遠くから見ただけでも、この魔修の修為は真仙を遥かに超え、さらには……玄仙をも超えているのでは?!」
於沈冰も表情を引き締めた!
二人は近づく勇気もなく、ただ遠くから黒い気が徐々に下降し、小山村の中に入っていくのを見守るだけだった。
「今回は確実だ。魔修冥天北が確かにここに隠れているのだ!」
「行くぞ!」
於沈冰は躊躇なく、すぐに立ち去った!
欲しい情報は手に入れた。もはやここに留まる意味はなかった。
……
小山村の中。
冥天北は少女を背負いながら、前方へと全速力で走っていた!