第16章 4姫を迎える
神劍學院の幹部たちが十四個の極品築基霊液について話し合っているのと同様に、楊家荘の人々も話題にしていた。
楊超と黃瑩も含めて。
「もし私たちが二つの極品築基霊液を競り落として、小天くんに服用させて修行させれば、小天くんはすぐに二階、あるいは三級まで突破できるかもしれないわ」と黃瑩は言った。
楊超は苦笑いして言った。「二つの極品築基霊液なんて、六七千金もかかるだろう。私たちは一つさえ買えないんだ」そう言って、深いため息をついた。
息子のために極品築基霊液を競り落としたくないわけがない。しかし、今は家財道具を全て売り払っても一つの極品築基霊液の金額さえ集められない。
「屋敷は、どう？見つかった？」黃瑩も家の事情を知っていたので、話題を変えて尋ねた。
楊家荘から引っ越すなら、当然住む場所を探さなければならない。
楊超は首を振った。「星月城の北には売り物件が何軒かあるが、場所が不便すぎる上、値段も安くない。七百金だ」
「南には一軒の屋敷が売りに出ているが、広さもあって場所も悪くない。ただし値段が高すぎる。千五百金余りだ」
彼はここ数年で多少の貯金はあったが、それほど多くはなく、せいぜい千金程度しか出せなかった。
黃瑩は少し躊躇してから言った。「じゃあ、私が実家に行って父に借りてくるわ」彼女の父は雷城の黃家當主で、黃家は裕福で、父は彼女を可愛がっていたので、この程度の金額なら貸してくれるはずだった。
楊超は考えてから、首を振って言った。「最後の手段でない限り、お義父様には迷惑をかけたくない」
義父が貸してくれることは分かっていたが、黃瑩の義姉は気が強く、黃瑩が実家にお金を借りに行ったと知れば、また何か嫌みを言うに違いない。
「私にはまだ装飾品があるから、それを質に入れれば五六百金くらいは集まるわ。それで南の屋敷を先に買いましょう」と黃瑩は言った。
楊超はため息をつきながら「それしかないな」と言い、黃瑩の手を握って深い愛情を込めて言った。「瑩、私と一緒にいてくれて、苦労をかけてすまない」
黃瑩は首を振った。「苦労なんてないわ。あなたと、小天くんと、靈兒ちゃんがいれば、私は十分満足よ」
その日、黃瑩は装飾品を質に入れ、六百金を集めた。
楊超と黃瑩は楊小天と楊靈兒を連れて城内に入り、代金を支払って南の屋敷を購入した。
屋敷は三進三出で七部屋あり、所々雑草が生い茂り、家具もなかったが、楊超は目の前の屋敷を見て満足そうだった。
彼は楊小天と楊靈兒に笑顔で言った。「これからここが私たちの新しい家だ。数日後に引っ越してくるけど、いいかな？」
「うん、いいわ！」楊靈兒は手を叩いて喜んだ。
楊小天は肩をすくめた。楊家荘から出ることに、彼ももちろん異議はなかった。
この頃、楊家荘での差別や嘲笑に耐えてきたので、引っ越せるのは最高だった。
手続きを済ませた後、一行が正門に鍵をかけて小さな中庭から出てきた時、向かいから星月城の曾家當主である曾鴻森と出くわした。
曾鴻森は腹が出ており、護衛を連れて向かってきて、楊超を見ると皮肉な笑みを浮かべて言った。「おや、これは楊超二番館主ではないか？楊家荘から追い出されたと聞いたが？」
そして笑いながら言った。「これがお前の新しく買った屋敷か？」剥げ落ちた塀を指さして笑った。「こんなボロ屋敷を楊超二番館主が気に入るとは思わなかったな」
楊超は顔を曇らせた。「用件は？」
曾鴻森はその言葉を聞いて、険しい目つきになり、笑って言った。「新居を購入したと聞いたので、お祝いを言いに来ただけだ」一呼吸置いて、続けた。「しかし、この屋敷は以前人が死んだと聞いている。邪気が強いそうだ。楊超二番館主、住むなら気をつけたほうがいい」
「数日住んだだけで、中で死ぬかもしれないぞ」
そう言い終わると、護衛たちと共に大笑いしながら去っていった。
楊超は不機嫌な表情を浮かべ、黃瑩は怒りを隠せなかった。
楊小天は曾鴻森が威張って去っていく姿を、冷たい目で見つめていた。
曾家は絹織物を商っており、以前父が楊家荘の絹織物事業を管理していた時、相手と何度も利害衝突があり、両者は激しく争ったことがあった。
しかし、曾鴻森は父の相手ではなく、父に歯を折られたことがあった。
先ほどの曾鴻森の態度を見ると、明らかにこの件はまだ終わっていないようだった。
この時、楊超が言った。「聞くところによると、曾鴻森は最近風雲商会の溫嘉偉と親しくなったらしい」
「風雲商会の管理人の溫嘉偉ですか？」黃瑩は心配そうな表情を浮かべた。
楊超は頷いた。
曾鴻森一人なら恐れることはないが、風雲商会が絡んでくると厄介だった。
風雲商会は神海國の大手商会で、神海國の多くの都市に支部を持っている。
溫嘉偉？楊小天はその名を記憶に留めた。
その後の日々、楊超は部下たちに荷物を新居に運ばせ、同時に新居の掃除をさせ、新しい家具も購入した。ただし、財布が寂しかったため、家具は安いものを選んで買った。
楊小天はいつも通り、夜は谷で修行し、昼は楊家荘で錬薬の秘伝書を読んでいた。この期間の積み重ねで、彼は丹藥についてより多くの知識を得た。
雙生至尊武魂を覚醒させたせいか、彼は記憶力が極めて良くなっていることに気付いた。どんな丹藥の配合法でも、一度見ただけで覚えることができた。
武技についても、一度見ただけで完全に演練でき、各技の奥義まで理解することができた。
二日があっという間に過ぎた。
楊小天が風雲商会に残りの薬材を取りに行こうとしていた時、楊家荘の護衛や侍女たちが走り回って告げ知らせているのを聞いた。「楊重様がお帰りになりました！」
たちまち、楊家荘は騒然となった。
楊明、楊海たちは興奮し、急いで楊家荘の高手たちを率いて荘を出て、神海國の四姫と陳遠を出迎えた。
しかし、誰も楊小天の家族には知らせなかった。
楊明、楊海たちが恭しく出迎える中、ついに神海國の四姫である程貝貝と陳遠、楊重の一行がゆっくりと到着した。程貝貝の一行は非常に豪勢で、数十人の高手を従えていた。
「楊家荘の楊明、楊海、姫様にご挨拶申し上げます」楊明と楊海は一行を遠くから見るなり、興奮して前に出て礼をした。
程貝貝は楊重より三つ年上で、高貴さの中に冷たい傲慢さを漂わせていた。彼女は靈獸に乗り、高みから楊明、楊海たちを見下ろし、彼らに起き上がるよう命じた。
その後、楊明、楊海たちの興奮した歓迎の中、程貝貝、陳遠一行は楊家荘に入った。
しばらくして、楊明と楊海は眉をひそめた。今回四姫がこれほど多くの護衛や従者を連れてくるとは予想していなかった。用意していた部屋では、とても足りない。
「弟に部屋を明け渡してもらうのはどうだ？どうせ引っ越すのだから、早いも遅いも同じだ。今日中に出て行ってもらおう」楊海は考えてから言った。「彼の部屋が空けば、四姫の護衛や従者たちの宿泊には十分だろう」
「そうだな」楊明も他に方法が思いつかず、頷いた。