第44章 王様？どの王様？

古代の官僚は流刑の道中で、最も事故に遭いやすいものだった。

流刑された官僚は権力を失い、かつて彼に恨みを持つ者たちは彼を恐れなくなり、その敵たちは復讐のために暗殺者を送り込むことが多かった。

さらに朝廷に残る政敵たちも、これらの流刑者が最終的に朝廷に戻ることを望まず、あらゆる手段を尽くして流刑された官僚を殺そうとした。

まして穆長天は虎賁軍で名を轟かせた将軍であった。

かつて穆長天は夏帝の皇位争いを助けるため、多くの敵を作っていた。

これらの者たちは皆、穆長天を殺したがっていた。

穆長天は今や牙を抜かれた虎同然で、彼の敵はこの機会を逃すはずがなかった。

路辰は今、この義理の父を救うべきかどうか考えていた。

彼の現在の実力なら、救出することも不可能ではない。すでに錦衣衛を手中に収めているのだから。

そして穆長天は自分の王妃の父親であり、見殺しにするのもよくないだろう。

しばらくして、路辰は尋ねた。「西北への流刑なら、北郡からそれほど遠くないだろう？」

秦玉山は答えた。「はい、王様。」

路辰は再び手元の情報に目を通し、言った。「この情報は四日前のものだ。恐らく穆國公府の一家はすでに流刑の道中だろう。本王が彼らを救おうとしても、間に合うかどうかわからない。」

路辰の言葉を聞いて、秦玉山はすぐに言った。「ご安心ください。梁縱指揮官は王様が主であることを知れば、どうすべきかわかっているはずです。」

もし梁縱が自分の主が北王様だと知らなければ、穆國公府を救うことはなかっただろう。

しかし彼らの錦衣衛の主が北王様で、穆公が北王様の義父だと知っている以上、必ず最優先で穆國公府を救出し、北王様の次の命令を待つはずだ。

路辰は少し考えた後、今はまだ会ったことのない錦衣衛指揮使が物事を理解してくれることを願うしかなかった。

その後、路辰は秦玉山に言った。「梁指揮官に伝言を送れ。穆國公府の一家を救出後、できるだけ全員死亡したように見せかけ、何とか北郡まで送り届けるよう手配せよ。」

秦玉山は拱手して答えた。「はい、王様。」

路辰はこの時、錦衣衛四大機構の責任者たちを見て言った。「錦衣衛はまだ表に出るべきではない。お前たちは今まで通り、これまでの仕事を続けろ。」

錦衣衛は大夏王朝の影衛に比べればまだ大したものではない。