路辰は皇子でありながら、幼い頃から白卿卿と一緒に育ったことと、異世界人の魂を持っていたため、白卿卿の前で皇子としての身分を振りかざすことは滅多にありませんでした。
路辰は子供の頃、言葉で白卿卿をからかうのが好きで、主に彼女が慌てふためく表情を見たいと思っていました。
しかし、何年経っても、白卿卿の顔に表情の変化を見ることはありませんでした。
この時も白卿卿は路辰の言葉を聞いても、子供の頃と同じように、心に何の動揺もなく、それが不適切だとも思わず、顔にも慌てた様子は見られませんでした。
この様子を見て、路辰は心の中で、やはり情のない女だと思いました。
この時、白卿卿は自ら路辰に礼を述べて言いました:「王様にお目にかかります。」
路辰は彼女の前で皇子としての身分を振りかざすことはありませんでしたが、路辰はやはり皇子であり、北王様でしたので、彼女は路辰に会えば礼をしなければなりませんでした。
路辰はすぐに白卿卿の玉手を支え、微笑みながら白卿卿の瞳を見つめて言いました:「白ちゃん、そんなに他人行儀にしなくていいよ。私の前で礼なんかする必要はないよ。」
路辰が両目で白卿卿をじっと見つめているのを見て、楚語琴の心に突然奇妙な感覚が生まれました。
彼女は思わず、もしかして辰ちゃんは白ちゃんにもそういう気持ちを持っているのかしら?と考えました。
そう考えた途端、楚語琴は急いでそれ以上考えるのを止めました。
彼女も今日の自分がどうしたのかわかりませんでした。路辰が他の女性と話をしているのを見ると、心がなんだか酸っぱくなって、路辰が彼女たちに気があるように感じてしまうのです。
楚語琴は心の中で自分を慰めようとしました。たとえ辰ちゃんが彼女たちに興味を持っていても不思議ではない、こんなにいろいろ考える必要はないのに。
路辰はこの時、白卿卿に言いました:「白ちゃん、早く入って。この数年間どこに行って、どんなことを経験したのか聞かせてほしいな。」
そう言うと、路辰は直接白卿卿の玉手を引いて王府の中へ向かって歩き始め、白卿卿も抵抗せず、少しも振り払おうとする様子もありませんでした。