「幻覚だ、幻覚に違いない!」
腕を見つめてしばらく呆然としていた林動は、突然目を閉じて深く息を吸い込んだ。心が徐々に落ち着いてきた後、彼の手は少し震えながら再び自分の腕を撫でた。
手が触れる所には、角質層のような硬さが伝わってきた。まだ本当の木や石のような硬さには達していないものの、先ほどの林動の肌と比べると、明らかに数倍も硬くなっていた!
これは間違いなく體錬第四段に進もうとしている兆候だった。この肌がもう少し硬化すれば、それは紛れもない體錬第四段となる!
しかし……林動は口を開いたり閉じたりし、まるで幽霊でも見たかのような驚愕の表情を浮かべていた。だって、彼は今日やっと體錬第三段に到達したばかりなのだ。半日も経たないうちに、どうして第四段に進もうとしているところまで来てしまったのか?
突然降って湧いた幸運に、林動は頭がクラクラしていた。彼は赤い顔をして、石の池の周りを行ったり来たりしていた。もし本当にこのような速度で進歩できるのなら、族の上位三位など取るまでもない。林氏一族の十年に一度の族会でさえ、少しも恐れることはないだろう。
「でも……そんなことがあり得るのか?」
喜びで頭がクラクラしていたものの、林動は年の割に大人びていたため、しばらくすると冷静さを取り戻した。小さな顔に眉を寄せながら、事の始終を思い返し始めた。しかし洞窟の中には特に変わったものはなく、彼の視線は一周した後、石の池に止まった。
「この石の池、本当に何か不思議な力があるのかもしれない?」
林動は驚きの表情を浮かべ、すぐに首を振った。この石の池には幼い頃から何度も浸かってきたが、今日のようなことは初めて起きたのだ!
これは一体どういうことなのか?
赤參の効果のはずがない。一品霊薬一つで、十日で體錬第三段に達することができたのは、すでに最大限の効果だったはずだ。
「何か違うところがあるはずだ」
林動は唇を固く結び、小さな顔に執着の色が浮かんだ。彼はこの事の重要性を理解していた。もしその中の秘密を発見できれば、それは彼にとって非常に重要なものとなるだろう。
「今日は普段より疲れていた。でもそれも一度や二度ではない。ここで寝るのも?前にも寝たことがある……」
林動は石の池の傍らにしゃがみ込み、眉間にしわを寄せて深く考え込んでいた。考えながら、彼の手は無意識に腕を撫でていた。しばらくすると、突然手が止まり、彼の視線がゆっくりと自分の腕に向けられた。そこには、以前たくさんの血痕があったはずだが……
「血?」
林動の目が光り、突然手を伸ばして石の池の横の岩の隙間から小さな短刀を取り出した。これは以前ここに置いておいたものだ。
短刀を指先に少し力を入れて引くと、真っ赤な血玉がすぐに現れた。そして林動は少し躊躇した後、慎重にそれを石の池に滴らせた。
「ポタッ!」
血玉が石の池に落ちる音が、静かな洞窟の中で鮮やかに響いた。林動の目は、血玉が落ちた場所から一瞬も離れなかった。
血玉が石の池に落ちると、細かい波紋が広がり、血の色がゆっくりと広がっていった。そして、静かだった石の池は、林動の驚いた目の前で、すぐに小さな泡を立て始めた。泡の中には、かすかに赤い液体が渦を巻いているのが見えた。
林動は喉を鳴らし、震える手を池の水に入れた。すると泡が弾け、薄い赤色の液体が手に付着し、毛穴からそっと染み込んでいった。
この薄い赤色の液体が染み込むにつれ、林動の手に突然熱い感覚が走った。その感覚は、先ほど目覚めた時に感じたものと同じだった。しかも今回は、その薄い赤色の液体が手の筋肉や皮膚に染み込んでいくのをはっきりと感じることができ、手の皮膚がどんどん硬くなっていくのを感じた。
「やはりそうだったんだ!」
手の変化に気づいた林動は、小さな顔に喜びを満面に浮かべた。彼の推測は間違っていなかった。この石の池の水は、血液が混ざることで特別な効果を発揮するのだ!
林動は手を握りしめた。この手の皮膚は他の部分と比べて明らかに硬くなっていた。これは先ほどの短い浸水で得られた効果だった。この効果は神業と呼べるほどだ。林動の推測では、この効果は青陽町で高価で売られている三品霊薬でさえ及ばないものだろう!
「でも、なぜこの池の水がこんな三品霊薬さえ及ばない効果を持っているんだろう?」
石の池の水は、これまでの年月で彼も調べたことがあった。岩から染み出てくる水だが、それはただの山の湧き水に過ぎなかった。確かに少し冷たさを感じるものの、林動はこの山の湧き水には特別な効果がないことを確信していた。しかし、体に起きたこの現象は、一体どう説明すればいいのだろうか?
林動は額を擦りながら、長いため息をついた。この不思議な石の池に感情を揺さぶられすぎた彼は、そのまま池の傍らに横たわった。たとえこの石の池がこのような不思議な効果を持つ理由を発見できなくても、とにかくこれは林動にとって、天から降ってきた大きな恵みかもしれない。
林嘯は怪我のせいで、常に霊薬で体を調整する必要があった。霊薬は高価で、頑固な性格の彼は林家からのどんな援助も拒否していた。そのため普段は自分で山に入って猛獣を狩るか、運任せで霊薬を探すしかなかった。しかしそれで得られる収入では、明らかに林家の同世代と同じような修行条件を林動に与えることはできなかった。
そしてこのような時、この石の池の効果は、林動にとってますます重要なものとなった。
「石の池の効果は、絶対に秘密にしなければならない!」
林動は小さな拳を握りしめた。これは単に彼が石の池を使って修行する必要があるからだけではない。この情報が広まれば、どれほどの騒動を引き起こすか、彼にもよくわかっていた。さらには、青陽町の他の勢力もこれに目をつけるだろう。そうなれば、林家が直面することになるのは、小さくない災難かもしれない。
罪のない者も、宝を持てば罪となる!
この道理は、林動は幼いながらも理解していた。
林動は唇を固く結び、心の中でも決意を固めた。そして彼が立ち上がろうとした時、突然視線が止まり、軽く「おや?」と声を上げた。目は石の池の上方の洞窟の天井を真っ直ぐに見つめていた。そこで先ほど何か光るものが一瞬きらめいたように見えた。
普段なら、このような現象を見ても気にも留めなかっただろう。しかし今の彼は、この石の池に強い関心を持っていた。そのため、この洞窟のどんなものにも非常に注意深くなっていた。
林動の視線は、先ほどの微かな光のきらめきがあった場所に釘付けになり、まばたきもせずに見つめていた。そして彼のこの集中した観察の下、先ほどの光のきらめきが再び現れた。今回はさらに急な動きで、一筋の微かな光が降り注ぎ、林動の注視の中、真っ直ぐに下の石の池に落ちた。
池の表面は、光の粒が落ちたことで、微かな波紋を描いた。
林動はその微かな光が池に落ちた場所をぼんやりと見つめ、そして唾を飲み込んだ。先ほどの光が落ちてきた時、彼はかすかに見た気がした。その中には、深い赤色の液体が含まれているようだった。その液体は……先ほど林動が血玉を落とした後に見た薄い赤色の液体と、まったく同じだった!
「どうやら秘密は、あの上にあるようだ……」
林動の目の中の光がより一層明るくなり、彼は頭を上げて石の池の上方の洞窟の天井を見つめながら、小声でつぶやいた。