第82章 一死一傷

雷霹の目は、林動の掌にある鋭い光を放つ「砕元梭」を見つめ、なぜか全身の肌が引き締まるような感覚に襲われた。

彼は予想していなかった。林動は若く未熟な少年に見えたが、その出手は実に冷酷で、先ほどの二人の包囲攻撃に対しても慌てることなく、最後の瞬間に一人を返り討ちにした。この手腕は、雷霹でさえ心が震えるほどのものだった。

「今回は油断したな」

雷霹の心にこの思いが過ぎったが、すぐに苦い思いが込み上げてきた。実は油断したわけではなく、林動の見せた実力があまりにも強すぎたのだ。一年前にはかろうじて雷力に勝てる程度だった少年が、一年後にはこれほどの恐ろしい域に達するとは、誰も想像できなかった。

「動ちゃん!」

雷霹が目を素早く動かしている間、遠くから林嘯の急な叫び声が聞こえ、続いて大勢の足音がこちらに向かって響いてきた。

雷家は底力こそ弱くないものの、林家もまた青陽町で一定の地位を持ち、耳目も多かった。この場所で起きた騒動はすぐに林嘯の耳に入ったのだ。

「くそっ!」

林嘯たちがこれほど早く気付いたことに、雷霹は顔を曇らせた。近くで「砕元梭」を手に持ち、冷たい眼差しを向ける林動を見て、今回の行動が完全な失敗に終わっただけでなく、雷家は天元境の高手を一人失ったことを悟った。この損失は甚大と言えるものだった。

「このバカ野郎、これで終わったと思うなよ。覚えておけ!」

雷霹は雷刑の遺体を抱え上げ、怨念に満ちた目で林動を睨みつけ、捨て台詞を残すと、身を跳ね上げて屋根に飛び乗り、逃げようとした。

「逃げるつもりか?」

雷霹が逃げようとするのを見て、林動は冷笑を浮かべた。もはや完全に敵対関係となったのだから、遠慮する必要もない。天元境の高手は雷家にとって重要な財産であり、一人を殺せたことは、彼らにとって骨を削るような痛手となるはずだ。

「シュッ!」

林動は腕を振り上げ、手にした「砕元梭」を黒芒と化して、稲妻のように雷霹めがけて放った。

雷霹は明らかに林動の動きを警戒していたため、彼が攻撃を仕掛けるのを見るや否や、強大な元気力を全身に巡らせ、身を翻して黒芒を避けた。

「ふん」

林動の攻撃を避けた雷霹が冷笑しようとした瞬間、背後から風を切る音が聞こえ、驚いて目を向けると、先ほど避けたはずの黒芒が信じられないことに向きを変え、再び彼の頭部めがけて飛んできていた。

「ありえない!」

雷霹はこの光景に魂を抜かれたように驚愕し、この時できることと言えば、急いで両腕を頭の後ろに守りとして構えることだけだった。

「ブスッ!」

黒芒は雷霹の腕に激しく突き刺さり、その上に張り巡らせていた元気力の防御さえも貫通してしまった。鋭利な短梭は、ほぼ柄の部分まで雷霹の腕に突き刺さり、血が激しく流れ出した。

一撃を命中させた林動は、泥丸宮からまた波動を放ち、「砕元梭」を引き抜こうとしたが、この時雷霹も林動がこの黒梭を遠隔操作できることを悟ったようで、歯を食いしばり、腕の筋肉を急激に緊張させ、砕元梭を筋肉で挟み込んでしまった。そして身を翻すと、みすぼらしい姿で遠くへ逃げ去った。

「このバカ野郎、次は必ずお前を粉々にしてやる!」

雷霹の姿が急速に遠ざかっていく中、その怨念に満ちた低い叫び声が遠くから届いてきた。

「惜しかったな……」

遠ざかる雷霹の姿を見つめながら、林動は残念そうに首を振った。手を振ると、先ほどこっそりと放っておいた数本の「砕元梭」が黒芒となって彼の袖の中に戻ってきた。もしあいつがもう少し遅れていれば、これらの「砕元梭」を操って密集攻撃を仕掛け、完全に雷霹を仕留めることができたはずだった。

「動ちゃん!」

林動が砕元梭を収めた時、通りの一端から数十の人影が現れ、その先頭にいたのは林嘯だった。

「父さん」

林嘯を見て、林動も微笑んで答えた。

林嘯は猛ダッシュで駆けつけ、一目で地面に転がる死体を確認すると、表情を一変させた。一歩前に出て林動を後ろに庇い、警戒の目で周囲を見回した。林家の護衛たちも、カチャカチャと刀剣を抜き、二人を取り囲んだ。

「何があった?」

林嘯の重々しい声に、林動は頭を掻きながら笑って答えた。「雷家の連中です。雷霹と雷刑が僕を殺そうとしてきました」

「雷霹に雷刑だと?」

この二つの名前を聞いて、林嘯の顔が引きつっただけでなく、周りの護衛たちの表情も変化した。この二人が雷家の中核メンバーで、しかも二人とも天元境中期の実力者であることを知らない者はいなかった。青陽町では、かなりの名の通った存在だったのだ。

「雷家のこの野郎ども!」

林嘯は歯ぎしりしながら罵った。若輩者一人を倒すために、雷家が二人もの中核メンバーを差し向けてくるとは思いもよらなかった。そう考えると、彼も背筋が寒くなった。林動が見せた才能が、すでに雷家の殺意を引き起こしていることは明らかだった。これからは、必ず護衛を付けて身辺を守らせなければならないだろう。

「大丈夫だったのか?奴らは?」

「大丈夫です」林動は笑いながら答えた。「雷刑は死んだでしょう。雷霹も片腕を潰されて、しばらくは戦えないでしょう」

林嘯の思考は数秒停止したかのようだった。そして突然振り向き、目を見開いて林動を見つめた。「雷刑が死んだ?雷霹の腕が潰された?お前がやったのか?」

サッ、サッ!

周囲の林家の護衛たちも、この時口を開けたまま、彼らが守っている中央の少年を見つめ、突然頭皮がゾクゾクしてきた。雷霹と雷刑は確か天元境中期の高手だと言われていたはずだ。二人が手を組み、さらに他の手勢も連れてきていたというのに、何の成果も上げられず、むしろ一人は死に、一人は傷を負ったというのか?

「運が良かっただけです、運が良かっただけ……」

周囲の視線を感じ、林動は少し気まずそうにした。もしこの事実がいずれ明らかになることを知らなければ、本当なら自分から話したくはなかった。

「くそ、運が良いだけで天元境の高手を殺せるものか?」林家に忠実な護衛たちは、顔を見合わせながらつぶやいた。

林嘯も口を動かしたが、結局何も言葉が出てこなかった。この時、彼の心の中も大きな波が立っていた。雷霹と雷刑の連携攻撃に対して、自分でさえこれほどの戦果を上げられる自信はなかった。

「よくやった」

林動の肩を力強く叩きながら、林嘯は最後に、誇りと喜びを込めてこの三文字を吐き出した。