第21章 夏春カップ_2

「天宇さん！ゆっくり走って！転ばないでね！」劉天宇に押しのけられた一人が彼に向かって叫んだ。

「天宇さんの走り方、かっこいい！」そばかすだらけの太めの女の子が劉天宇の後ろ姿を見つめ、憧れの表情を浮かべた。

彼らは何が起きているのか全く知らなかった。

「逃げても無駄だ」林亦は劉天宇の後ろ姿を見て眉を上げ、視線を移すと、近くの地面から小石を拾い上げ、右手で摘み、人差し指に力を込めると、その石がシューッという音を立てて劉天宇に向かって飛んでいった。

バン！

周りの人々は、さっきまで楽しそうに走っていた劉天宇が次の瞬間足を滑らせ、バランスを崩して地面に倒れるのを目撃した。

また転んだ！

劉天宇は泣きたい気持ちだった。この二日間で転んだ回数は、今までの人生で転んだ回数を全部合わせたよりも多かった。

林亦は前に歩み寄り、首を振った。「随分と早く走るじゃないか？助けを呼びに行くつもりか？」

「違います、僕は...ただ走りたかっただけです！」劉天宇は背中が痛み、顔をしかめながら、立ち上がろうとする前に林亦の声を聞いて、顔面蒼白になった。

「その言い訳は通用しないな」林亦は嘲笑うように笑い、片手で彼を掴み上げ、まるで小鶏を掴むように、みんなの前で運動場まで連れて行き、そこに投げ捨てた。冷たい表情で「さあ、走れ！」

劉天宇は泣きそうな顔をして、林亦の目を見て身震いし、その後グラウンドを走り始めた。

「声は？叫べ！」林亦が彼を睨みつけると、劉天宇は泣き声を混ぜながら叫んだ。「僕は走るのが大好き、走ると幸せになれます！」

彼の言葉を聞いて、見物に来ていた生徒たちは最初は呆然としていたが、すぐに大爆笑が起こった。

林亦は劉天宇が二十周を走り終えるまで見守り、それから教室に戻った。

林亦は席に座り、問題を解き始めた。

三時間目は国語の授業だった。

国語教師は七組の担任でもあり、鄭長河という名前で、やや小柄な体格で、いつも笑顔を浮かべている様子だった。

鄭長河は教壇に立ち、教室を見渡した。「学校の『夏春カップ』が始まります。今、サッカーチームにはディフェンダーの補欠が一人足りません。参加したい人はいませんか？学校の活動には積極的に参加してほしいものです。」