第四時限が終わり、下校の鐘が鳴り響いた。
馮勇は席から立ち上がり、林亦の机の横に歩み寄って、机を軽く叩き、上から見下ろすように言った。「飯を食う時間を30分やる。食べ終わったらグラウンドに集合だ。今日の昼はサッカー部の練習がある。」
「お前は補欠でしかないから、試合に出られるかどうかも分からないが、来なきゃいけないんだ。もし来なかったら、どうなるか分かってるよな。」
馮勇の周りの取り巻き連中は、林亦を見て面白がるような表情を浮かべていた。
林亦は眉をひそめ、馮勇たちが去っていくのを見つめた。
陳萌が近づいてきて、林亦を見つめ、素っ気ない目つきで言った。「お昼に水をグラウンドまで運ぶのを手伝ってもらえない?」
「いいよ。」林亦は陳萌に軽く頷いた。
「うん。」
陳萌は特に何も言わず、話が終わるとすぐに教室を出て行った。
昼食は食堂で、林亦が着いた時には、すでに人でいっぱいだった。
他の生徒たちは賑やかに群れをなして食事をしているのに、林亦だけが一人ぼっちで、まるで異質な存在のように見えた。
食事を終えると、林亦はグラウンドに向かった。グラウンドでは、馮勇たちがすでに練習を始めており、サッカーボールを互いにパスし合っていた。
明海第二中學校のサッカー場は専門的な管理が行き届いており、オレンジ色の陸上トラックがグラウンドの外周を一周取り囲んでいた。その先には砂場があり、走り幅跳びや砲丸投げの場所となっていた。
林亦はグラウンド脇の日陰に座り込んだ。しばらくすると、グラウンドの反対側からもう一組の選手たちがやってきた。
「馮勇、随分早く来てるじゃないか?」
先頭を歩く背の高いイケメンの男子生徒は、サッカーボールを抱えながら、馮勇に声をかけた。
「仕方ないだろ。お前たち3組には易思城がいるんだから、普段の練習でも俺たちは必死にならないと、3組に完敗するしかないじゃないか?」
馮勇は易思城を見て、笑顔を浮かべた。
易思城は明海第二中學校で評判の人物だった。第一高校に入れる成績があったのにサッカーを続けるために第二中學校を選んだという、それだけでも多くの人々の尊敬を集めるに十分だった。
その上、易思城はイケメンで成績も良く、人柄も明るく感じられたため、女子生徒たちに非常に人気があった。