第15章 偶然の出会い

「大丈夫?」

「うん、心配してくれてありがとう」

方尤は林亦の左手に巻かれた包帯を見て言った。「随分長くかかったけど、何かあったのかと思った」

「亦ちゃん、大丈夫?琳嫣から少し怪我したって聞いたけど、手は大丈夫なの?医者は何て言ってた?」

呂舒は林亦を見かけると、急いで近寄ってきて、林亦の手の包帯を見ながら言った。「他に薬は必要なの?どうしてこんなに不注意なの」

「大丈夫です、呂おばさん」

「ふん、人を迎えに行くだけなのに、こんなことになるなんて」

陳強山は出てきた林亦を見て、不機嫌そうな顔で冷たく言った。

「黙っていなさい!」

呂舒は眉をひそめて陳強山を見た。陳強山は手を振って「先に車を持ってくるよ。そうだ、方尤、もう遅いから今日はうちに泊まっていきなよ」

陳琳嫣もこの時言った。「そうよ、方尤。こんな遅くに帰るのは危ないわ。今夜は私と一緒に寝ましょう」

陳琳嫣と方尤は中学から一緒に遊ぶ友達で、以前も陳琳嫣の家に泊まることは多かった。

「うん、じゃあそうさせてもらうわ」

方尤は陳琳嫣に引っ張られて一緒に出て行った。出る前に、陳琳嫣は警告するような目つきで林亦を見た。

ロビーには呂舒と林亦の二人だけが残された。

「亦ちゃん、さっき何があったの?教えて」

呂舒は真剣な表情で林亦を見つめた。その表情は特に厳しかった。

林亦は呂舒を見て「琳嫣が話してくれなかったんですか?」

「話してくれたわ。あなたが彼女を迎えに行った時、歩いていて転んでしまったから、彼女と方尤があなたを病院に連れてきたって」

呂舒の言葉で林亦はすぐに理解した。

陳琳嫣は本当のことを話していなかった。

でも考えてみれば当然だった。もし陳琳嫣が呂舒と陳強山に、クラスメートの誕生日パーティーに参加して、帝豪KTVの人々とトラブルになったと話したら、きっと今後外出することもできなくなるだろう。

ただ林亦が不思議に思ったのは、さっきまで外にいた第一高校の生徒たちが、あっという間にいなくなっていたことだった。

考えていると、林亦は病院の別の通路で覗き見している人々を見つけた。

「なるほど、両親がいるのを見つけて、みんなに隠れるように言ったんだな」

林亦は思わず笑みを浮かべた。