第16章 湧泉穴

「あなたを家に呼びに来た人って、一体何者なの？彼があなたの家に住んでるの？」

陳琳嫣の部屋に戻ると、方尤が立ち止まって好奇心を持って尋ねた。

陳琳嫣はベッドにうつ伏せになって答えた。「もう言わないで。母の同級生の子供なの。厚かましくも私の家に居候してて、もうかなり長くなるわ」

「まさか、どうしてこれまで一度も話さなかったの？」

「こんなこと、言いづらいでしょう。誤解されたらどうするの」

陳琳嫣は体を反転させた。「彼が高校卒業まで住み続けるかもしれないなんて、考えただけでも嫌になるわ」

「どうして外で部屋を借りないの？」

「お金がないからでしょう」

陳琳嫣は軽く答えたが、そう言うのはよくないと感じ、続けて言った。「彼のお母さんは小学校の先生で、きっと一人で部屋を借りて住むのを心配してるんだと思う」

「そう」

方尤は考え深げに頷いた。

「まさか彼に興味があるの？易思城みたいなイケメン金持ちじゃないけど、素直な性格よ。それに易思城より落とすのは簡単だと思うわ。あなたずっと易思城を追いかけてるけど、全然うまくいかないでしょう？彼から始めてみたら？私が橋渡しするわ。練習がてらに彼を落として、それにあなたの家は広いから、彼を引き取ることもできるわよ」

陳琳嫣は方尤を見つめながらクスクス笑った。

方尤は目を回した。「冗談じゃないわ。あなたの魂胆が分かってるわよ。私に彼をあなたの家から追い出させたいだけでしょう？甘いわね。今の私は易思城にしか興味ないの。もし彼がサッカーで易思城に勝てるなら、考えてあげてもいいけど」

「易思城に勝つ？無理よ。はぁ」

陳琳嫣は首を振り、諦めたような表情を浮かべた。「高校卒業まで我慢するしかないわね」

「どうしてそんなに彼のことが嫌いなの？」方尤は不思議そうに、陳琳嫣が林亦に対してなぜそんなに悪い態度をとるのか理解できないようだった。

「嫌い？」陳琳嫣は一瞬戸惑った。「嫌いというわけじゃないわ。ただちょっと面倒くさいだけ。あなたと同じよ。毎日好きじゃない男子から告白されるでしょう？面倒くさいと思わない？」

「いや、今は私に告白する人なんてほとんどいないわ。告白してきた人は大体私が直接殴ってるから」

方尤の言葉に陳琳嫣は言葉を失った。

「もういいわ、一緒にお風呂に行きましょう」

「もう！」