林亦は明海花園団地を三周回って走り、六時頃になってようやく帰宅した。
呂舒は朝食の準備をしていて、外から戻ってきた林亦を見て、少し驚いた様子で「今日は随分早起きね。眠くないの?」
「眠れなくて、起きて少し走ってきただけだよ。眠くないよ」
「運動するのはいいことだけど、手の具合はどう?」
呂舒は林亦の左手を見た。そこにはまだ包帯が巻かれていた。
実際、林亦の手の怪我は練気第一層に到達した時点でほぼ治っていたが、余計な面倒を避けるため、林亦は手の包帯を外していなかった。
心配そうな呂舒の様子を見て、林亦は微笑んで「もう痛くないよ。最初からそんなに深刻じゃなかったし、ただ転んで擦りむいただけだから」
呂舒は林亦の言葉を聞いて、やっと安心したような表情を見せた。「傷口に気をつけてね。化膿させないように」
「うん、わかってる」
「朝ごはんができてるから、上に行って琳嫣と方尤を呼んできて。牛乳を入れておくわ」
林亦は階段を上がり、ドアをノックしようと手を上げた瞬間、ちょうど中から誰かがドアを開けた。
方尤はドアの前に立っている林亦を見て、少し驚いた様子で、すぐに頷いて「おはよう」
林亦は方尤を見たが、最初は誰だかわからなかった。
昨夜の方尤は濃いスモーキーメイクをしていて、林亦には方尤の本当の容姿がわからなかった。
しかし今、メイクを落とした方尤を見て、林亦は彼女が可愛らしい顔立ちで、少し凛々しさもあり、特にその目は思わず見とれてしまうほどだと気づいた。
方尤は入り口で自分を見つめて固まっている林亦を見て、あくびをしながら自分で洗面所の方へ向かい、顔を洗って歯を磨き始めた。
部屋の中で、林亦は大の字になってベッドに寝そべり、まだ完全に目覚めていない陳琳嫣を見た。陳琳嫣は白い布団にくるまり、抱き枕を抱えて、パジャマ姿だった。
「いつもは姫様みたいな陳琳嫣が、こんな寝相をしているなんて」林亦は呆れながら首を振り、中に向かって声をかけた。「琳嫣、朝ごはんの時間だよ」
陳琳嫣は林亦の声を聞くと、眉をひそめ、睡眠を邪魔されて不機嫌そうに、体を反対側に向けて枕を頭にかぶせ、林亦を無視した。