通学路を歩きながら、林亦は鞄を背負い、だらしない様子をしていた。
「あなた、前にカンフーを習ってたの?」
方尤は、隣にいる痩せ細った林亦と、昨夜帝豪KTVで神威を見せた林亦を結びつけるのが難しかった。
もし林亦の左手に今も包帯が巻かれていなければ、方尤は自分の記憶を疑っていたかもしれない。
「まあね」
「何よ、そのまあねって。はっきりしなさいよ、習ったか習ってないか」
方尤は林亦を見つめ、とても興味深そうだった。
林亦は方尤をちらりと見た。「なんでそんなに聞くの?昨夜のことは無かったことにしておけばいいじゃん」
「それはダメよ。どう考えても、昨夜はあなたに助けられたわ。恩を受けるのが一番嫌いなの。何か願い事でもして、私が叶えてあげるから、それで恩返しにしましょう」
方尤は真剣な表情で、しつこく迫った。
陳琳嫣の家を出てから、方尤は本性を見せ始めていた。
彼女は普段から学校でも問題児として知られる女子生徒で、不良女子のように毎日遊び歩くほどではないものの、ちょっとプライドの高い野生の狐のような存在だった。
林亦は少し頭を抱えた。
「わかったわ。あなた、琳嫣のことが好きなんでしょ?私が橋渡しをしてあげる。琳嫣の個人情報でも、スケジュールでも、趣味の情報でも、何でも手に入れられるわよ」
「本当?」
「もちろん!」
「ありがとう。でも興味ないよ」
「……」
方尤は少し憂鬱になり、ますます林亦の考えが分からなくなった。
道中ずっと、方尤は林亦の情報を探ろうとしたが、林亦はいつも話題を逸らし、方尤をイライラさせたが、どうすることもできなかった。
学校の門に近づいた時、方尤は用事があると言い、林亦の名前とクラスを聞いた後、別れた。
明海市第二中學校の校門前。
登校中の生徒たちは遠回りして、校門前に立つ数人を見ながら、ひそひそと話していた。
「あれ、劉天宇じゃない?鼻が曲がってるけど」
「あんなに大勢連れてきて、誰か運の悪い奴が災難に遭うんだろうな」
「孫飛まで来てるじゃないか。その運の悪い奴は神様に祈るしかないな。誰を怒らせるでもないのに、よりによって劉天宇を怒らせるなんて」
「誰かが陳萌に手を出そうとしたらしいよ……」
劉天宇の鼻には絆創膏が貼られていた。これは昨日、林亦に驚いて転んだときについた傷だった。