第41章 傲慢

林亦は教室に入ると、無数の視線が一斉に彼に注がれた。

「林亦、方尤が守ってくれているからって調子に乗るなよ。馮勇を殴ったのを、俺たちは全部見ていたんだぞ！」7番のユニフォームを着た趙東が前に出て、林亦の鼻先を指差した。

「そうだ、俺たちは全部見ていた！」別の男子生徒も同調した。

趙東は軽蔑した表情で言った。「女の後ろに隠れるなんて、男のすることじゃないぜ！」

「それに学校の夏春カップがもうすぐ始まるのに、お前が馮勇を怪我させたせいで、うちのクラスは試合に出られなくなった。恥をかくのは俺たちクラス全員なんだぞ！」

林亦は趙東を一瞥し、口角を上げながら、彼の横を通り過ぎた。

すれ違う瞬間、林亦は左手を伸ばし、趙東の腕を軽く叩いた。

趙東は林亦が返事もせず、自分を無視したことに腹を立てていたが、突然肩に重みを感じ、強い力が伝わってきた。趙東は顔色を変え、周りの目の前で、ドサッという音と共に地面に倒れ込んだ。

「おい、趙東、なんで急に土下座してんだよ！」ある男子生徒は趙東が突然倒れ込むのを見て、驚いて困惑した様子だった。

「そうだよ、なんでだよ！」別の生徒も理解できない様子だった。

趙東は言いたくても言えなかった。さっきは反応する時間すらなく、そんなに簡単に地面に叩きつけられてしまったのだ。

「謙虚に生きろよ」林亦は両側の机につかまって立ち上がる趙東を見もせずに、静かな口調で言った。

林亦の言葉は淡々としていたが、周りを見渡すと、さっきまでガヤガヤと騒いでいた生徒たちは、一斉に視線を逸らし、林亦と目を合わせようとしなかった。

教室は静かになり、林亦は自分の席に戻って座った。

趙東は地面から這い上がり、非常に不愉快な表情で林亦を睨みつけたが、もう挑発する勇気はなかった。

林亦は陳萌の席を見たが、彼女はいなかった。おそらく鄭長河と一緒に馮勇を病院に連れて行ったのだろう。

午後いっぱい、林亦は物理の問題集を一通り目を通した。

「高校1年から2年まで、2年間4学期分の物理の要点を半分終えた。あと半日あれば完全にマスターできる」

「国語は積み重ね、英語は暗記、生物・物理・化学は暗記と問題演習、数学はほぼ終わった。このペースなら、最大でも1週間もあれば、これまでの遅れを完全に取り戻せる」