第51章 老鐘

個室の中は、緊張した雰囲気が漂っていた。

「肖陽、一体何がしたいの！」鍾水雨は目の前に立っている男を見つめ、唇を噛みながら、顔色を悪くした。

「何がしたいかって、分からないはずないだろう、鍾水雨」肖陽はマイクを置き、鍾水雨の前を回りながら、笑みを浮かべた。「今は先生になったって聞いたけど？なら鍾先生って呼ばないとね」

「先生、こんにちは。学校の時にあれだけ追いかけたのに、なぜ僕を受け入れてくれなかったんだろう？」

肖陽は鍾水雨を上から下まで眺め、その目には貪欲な色が浮かんでいた。

「もう言ったでしょう。私はあなたのことが好きじゃない。私たちには可能性なんてないの。もう私に付きまとわないで」鍾水雨が言い終わると、肖陽は口を歪めて笑い、頷いた。

「好きじゃない？可能性がない？そう？」

肖陽は突然表情を曇らせ、振り向いて一蹴り、その老人の体を蹴った。

「あっ！」

老人は痛みの叫び声を上げ、恐怖に満ちた表情で、その場に縮こまった。

「お父さん！」

肖陽の行動を見て、鍾水雨は顔色を変えた。「肖陽、一体何をするつもり！」

「何もしないさ。人を殺せば命で償い、借金は返すのが当然だろう？お前の親父は俺の店で百万以上も負けた。今は債権者として取り立てに来ただけさ」肖陽は話しながら、震える老人を軽蔑的な目で見た。

「百万以上！」

鍾水雨はその言葉を聞いて、顔が青ざめ、唇を噛んだ。

彼女の給料はたった三千元ほどだった。

「そうさ、お前の親父は派手な人でね。小さく賭けろって言っても聞かなかった。一回一万元からだぜ。本来なら金を全部失った後は、店は貸さないんだけどな。でも誰のおかげだと思う？鍾先生のお前が好きだからさ。そうだろ？鍾先生のために特別に親父に百万以上貸してやったんだぜ」肖陽は冷笑した。

「全部仕組まれていたのね！」鍾水雨はどんなに鈍くても、肖陽の言葉を聞いて理解した。

明らかに肖陽が仲間と共謀して、父親を騙したのだ。

「そんな言い方はないだろう？元々お前の親父は賭け事が好きなんだ。俺はただプラットフォームと機会を提供しただけさ。それに親父さん、最高で二百万以上勝ってたよな？そうだろ、おじさん？」肖陽は老人を見た。