第50章 老人

鍾水雨は電話を手に持ち、急いで学校の門を出た。

今日の鍾水雨は黒いコートを着て、ハイヒールを履き、中は茶色のシャツを着ていた。

「どこにいるの」

鍾水雨は電話を持ち、小声で尋ねた。数言を聞いた後、タクシーを止めて乗り込んだ。

遠くない場所に、一台の小型バンがあり、運転席には金髪の男が座り、助手席には腕にギプスをはめた杰くん、後部座席には五人の男がいた。一人は頭に包帯を巻いた張劍、三人は体格のいい手下たち、最後の一人は極度に肥満した男だった。

彼の体の贅肉は山のように積み重なり、顔中に肉がついて、荒々しい様子で、表情は陰鬱だった。

「出てきた！あれだ！」助手席の杰くんは鍾水雨がタクシーに乗るのを見て叫んだ。「追いかけろ！追いかけろ！」

小型バンの運転手はアクセルを踏み、後を追った。

「杰くん、あの女のために殴られたのか？」後部座席の肥満男が粗野な声で言った。

「はい、大壯兄、あの女のためです！」杰くんは怒りに満ちた表情で答えた。

「女一人にそんなにやられたのか？」大壯兄は眉をひそめた。

「違います、彼女には生徒がいて、その生徒がすごく強かったんです。でも今は見かけませんでした」杰くんが言い終わる前に、肥満の大壯兄は彼の頭を平手打ちした。

不意を突かれた杰くんは、頭をフロントガラスに打ち付けた。

「このバカ野郎、生徒一人にこんなにやられて？お前、俺様の手下を名乗る資格があるのか？」大壯兄は怒りに満ちた表情を浮かべた。

「大壯兄、あの生徒には何か異常なところがあるんです」後部座席の張劍は、杰くんが殴られるのを見て、思わず口を挟んだ。

杰くんは林亦に痛めつけられた後、この大壯兄を呼んできたのだった。

この大壯兄は性格があまりよくないように見え、その肥満体は人に強い圧迫感を与えていた。

「余計な口を出すな？お前がいなければ、俺の手下がやられることなんてなかったんだ？」大壯は張劍に向かって怒鳴り、唾を飛ばした。

「あの女、なかなかいい感じだな。後で連れて帰って、俺が先に手をつける。異議あるか？」大壯は張劍を睨みつけ、一字一句はっきりと言った。

「大壯兄、それは筋が通らないでしょう」張劍は驚いて、思わず口にした。

「お前、まだ意見があるのか？」

大壯は動かなかったが、後ろの三人の手下のうち一人が、すでに張劍を蹴り飛ばしていた。