第103章 林亦くん

明海市に戻ったのは午後だった。

方尤は易思城に電話をかけ、彼がサッカーをしていることを知ると、場所を聞いて林亦に別れを告げ、興奮気味に試合を見に走っていった。

林亦と陳琳嫣の二人が道端でタクシーを待っていた。

「あなたはどうやってあの夏目と知り合ったの？」

陳琳嫣は林亦を見つめ、少し躊躇した後で尋ねた。

林亦はただの白楠県市街出身の貧しい少年なのに、どうして江城夏家の人と知り合いになれたのだろう。

このことが陳琳嫣にはどうしても納得できなかった。しかも、あの夏目は近づきがたい様子で、少なくとも昨日一日中、他の人とほとんど言葉を交わしていなかった。

「彼が僕にお酒を奢ってくれて、そうやって知り合ったんだ」と林亦は落ち着いて答えた。

「お酒を奢った？嘘でしょう。なんであなたにお酒を奢るのよ？」陳琳嫣は眉をひそめ、この林亦は最近ますます正直じゃなくなってきたと感じた。

「僕にもなぜかはわからないけど、確かに彼が僕にお酒を奢ってくれたんだ」林亦は肩をすくめ、少し困ったような様子を見せた。

自分は本当のことを言ったのに、陳琳嫣は明らかに信じていない。これではどうしようもない。

「ふん、言いたくないなら言わなくていいわ。でも忠告しておくけど、彼とあまり近づかない方がいいわよ。私が聞いた話では、こういう大家族の出身者は、多くが策略家で、友人も多いけど敵も多いの。虎の威を借りる前に自分が巻き込まれちゃうかもしれないわよ」陳琳嫣は真剣な表情で林亦を見つめながら、ゆっくりと話した。

林亦は彼女とこれ以上話す気にもならず、それがまた陳琳嫣の歯ぎしりを誘った。

「そうそう、もう一つ。なんであなたはあのおじさんが病気だってずっと言い張るの？あなたのそういう無遠慮な物言いは、あのおじさんが心が広いからいいものの、他の人だったら、今頃殴り殺されてるわよ」陳琳嫣は林亦を見ながら、このことを思い出した。

「僕を殴れる人がいればの話だけどね。それに、あの人は確かに病気だよ」

林亦の言葉は再び陳琳嫣の怒りを買い、彼女は顔を背けながら心の中で考えた。

「今の林亦はますます大言壮語するようになったわ。人を一目見ただけで病気だと断定できるなんて？まさかあなたは神醫なの？」